2005年11月19日(土)〜2006年1月15日(日)

名所図会の世界

―名所図会― 江戸時代後期にはじまる、各地の名所旧跡を集成し、挿絵を多く用いて、庶民にも親しまれるような書物です。今の本で言うと観光ガイドブックが最も近いのでしょうか。
 安永9年の『都名所図会』の刊行を皮切りに、実に多くの、名所図会が刊行されます。また、その影響を受け、名所図会のような体裁で、特定の場所や、特定の神社仏閣などを取り扱った『名所図会』も多く刊行されます。 
  今回の展示では、これまで、よく知られている名所図会はもちろんですが、これも名所図会の仲間なんだ、と思われる多くの『図会』を紹介したいと思います。これによって、名所図会の世界の奥深さを感じ入っていただければと思います。

会期
2005年11月19日(土)〜2006年1月15日(日)
料金
入場無料
展示解説
12月10日(土)・1月14日(土)
古文書講座
12月3日(土)
「名所図会をよんでみよう」

ザ・名所図会-名所図会の始まり-

 名所の案内などに関するものは、決して名所図会が始まりというわけではありません。東海道名所記に代表される「名所記」があります。しかしそれらは、道中記というもので挿絵も少なく、読み物としての要素が強かったようです。
 名所図会は、安永9年秋里籬島、竹原春朝斎により刊行された、都名所図会が始まりです。これまでの道中記などと比べ、ふんだんな挿絵が庶民の心を捉え人気作品となります。その後、彼らは、畿内各国の名所図会、主要街道であった東海道などの名所図会を刊行するに至ります。その後、各地方でもこうした名所図会が刊行されるようになります。その点数は枚挙に暇がありません。ここではその代表作を紹介します。

<展示資料>
『都名所図会』(27-82)・『江戸名所図会』(35-61)


『都名所図会』

『江戸名所図会』




名所図会の広がり-参拝のためのガイドブック-

 庶民の旅行目的のおそらくは、第1位を占めていたのが、信仰のための旅行であったと思われます。今のように自由な旅をするのが難しかった時代に最大の目的として選ばれていたであろうことは想像に難くありません。そのために、各地の神社仏閣の名所図会が刊行されています。

<展示資料>
『厳島図会』(34-48)・『金毘羅参詣名所図会』(22-48)・『住吉名勝図会』(1-63)・『善光寺道名所図会』(30-18)・『伊勢参宮名所図会』(8-39)・『鹿島名所図会』(64-1)


『厳島図会』

『鹿島名所図会』




『善光寺道名所図会』




ザ・名所図会2-街道を歩く-

 秋島籬島編の『名所図会』シリーズのなかでも、主要街道である東海道・中山道について、名所図会が刊行されました。

<展示資料>
『東海道名所図会』(22-46)・『木曽路名所図会』(36-12)


『東海道名所図会』

『木曽路名所図会』




さまざまな名所図会-こんな名所図会-

 名所図会ブームにのって、数多く出版されたいわゆる「名所図会」本ですが、ただ各地の名所旧跡を集めたものばかりでなく、名産品を集めたものや、旧国よりずっと狭い特定の地点の案内、特定の景観に絞って集められたものと、実に、いろいろなものが刊行されます。ここでは、その一部を紹介することとしましょう。

<展示資料>
『日本山海名物図会』(16-29)・『日本山海名産図会』(180-190)・『箱根山温泉図会』(89-7)・『稲野笹 有馬小鑑』(13-75)・『日本名山図会』(36-29)・『江戸名所花暦』(140-169)


『稲野笹 有馬小鑑』

『日本名山図会』


本企画展図録のご紹介

A4 12ページ 110g 300円
完売いたしました。