刻白爾天文図解

コッペルてんもんずかい97-75版本 1冊 文化5(1808)年

 「地球は太陽の周りを回っている」。わたくしたちは学校で習い、誰でも知っています。昔の人はどうだったでしょう。


 文化5(1808)年、司馬江漢(しばこうかん/1747~1818)によって、コペルニクスの「天球回転論」を紹介する天文書が刊行されました。実はコペルニクスの漢訳名を間違えてしまい(正しくは歌白尼と表記。刻白爾はケプラーの漢訳名)後の人に少々混乱を招いたりもしましたが、地球の自転・公転のこと、太陽系の他の惑星のこと、黄道十二宮のこと、地軸が傾いていること・・・等々を、図解を中心に分かり易く説き、近代的な楕円軌道による地動説を理解し広めるために大きな功績をはたしました。


 当時の人たちは西洋の天文学を窮理(きゅうり)学(真実をつきとめる学問)と呼び、広がる世界観に胸を高鳴らせました。わたくしたちもたまには煩わしい日常を忘れ、星空を見上げて大宇宙に心を遊ばせてみませんか。




傾いた地軸に、赤道、回帰線等を描いた地球の参照図。図のしたには地軸を中心に二十四時間かけて一回転すると一日、三百六十五日で一年であること等の解説を付す。