百鬼夜行之図

ひゃっきやぎょうのず午-361巻 巻子 近代


 「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう・ひゃっきやこう)」とは、妖怪たちが夜の闇の中を行列し、ざわざわと徘徊するさまのこと。これを描いた絵巻は室町時代の伝土佐光信筆、京都・大徳寺真珠庵所蔵のものが有名ですが、そのほかにもいくつかの作品が知られています。この原型は、古道具が変化した妖怪・付喪神の物語、『付喪神記』絵巻に登場する付喪神の祭礼行列のシーンを抽出したものと考えられ、その多くは鍋釜や五徳、木魚や鰐口といった道具の原型をのこした奇妙な姿の妖怪たちがユーモラスに行進し、絵巻の最後は夜明けの太陽や尊勝陀羅尼から発せられた火焔が登場し、追い立てられて逃げ惑う妖怪たちの姿で終わっています。
 本品では、付喪神のほか、大入道や一つ目小僧、般若といったおなじみの妖怪や狐や大猿、大蛇などの動物系の妖怪、そのほか作者の想像力の限りを尽くしたさまざまな姿をした妖怪たちが9.5mもの長さにわたって次から次へと登場します。


石灯籠の妖怪・オコゼに乗ったお歯黒の妖怪

蜘蛛の妖怪・狐・骸骨と巨大な生首・幽霊




 作者は幕末明治の画人である松岡緑堂。鮮やかな西洋絵の具や描写から近代に入ってからの制作と思われます。妖怪の姿は、くっきりと明快かつユーモラスで、もはや闇にひそむ恐ろしい生き物のイメージは失われています。実は、この大行進の先は武装した神々との決戦場。待ち構える神々に、妖怪たちはこてんぱんに打ち負かされてしまうのです。


真っ二つにされる木の妖怪の姿

猪に乗り弓矢を引く摩利支天の姿

退治された妖怪たちの首