和蘭六百薬品図

おらんだろっぴゃくやくひんず子-338江戸時代後~末期


 ここに描かれている植物の絵、洋画っぽいのにお気づきでしょうか。この本は、1800年にオランダのオスカンプが出版した『Afbeelding der Artseny-gewassen met Derzelver Nederduitsche en Latynsche Beschryringen(薬用植物図譜)』を元に、日本で書き写されたものです。
 オランダ製の元の本は手彩色の銅版画に、蘭語の植物名とラテン語の学名、植物の説明などが書いてありました。絵が六百点載っていたので、日本では「(和蘭)六百薬品図」などと呼ばれました。日本には天保期(1830年代頃)に舶載され、当時の本草学者らは研究に利用するため、こぞってこれを筆写しました。


胡瓜

 岩瀬文庫の本もその一つです。和紙に筆を使って丁寧に植物図を模写し、図の下には蘭語の植物名が、上方にはその和訳が書き込んであります。
 江戸時代、日本はご存知のように鎖国をしていましたが、まったく世界に目も心も閉ざしていたのではなく、むしろ驚くべき早さと正確さでもって外国の知識を吸収していたのです。




 七巻目は、600点の植物の名前を記した目録です。田中芳男(江戸時代後期~大正の博物学者。帝国博物館長)の口授になる目録で、明治13年に山本章夫(江戸時代後期~明治の本草学者・画家)が転写しました。




桃と菩提樹

キクニガナ