青楼美人合姿鏡

せいろうびじんあわせすがたかがみ99-1253冊 安永5(1776)年版

 浮世絵師・北尾重政(きたおしげまさ)と勝川春章(かつかわしゅんしょう)の競作による、吉原の遊女たちの艶姿を描く錦絵本。

 各妓楼自慢の名妓たちが、季節の風物とともに琴や書画、歌、香合、すごろく、投扇興などの芸ごとや座敷遊びに励み、興じ、巻末には彼女らの作による発句が掲載されています。高位の遊女は美しさだけではなく、豊かな教養もそなえていました。




 手の込んだ多色摺で、美麗な着物の意匠までが入念に描かれています。この豪華な絵本は、のちに歌麿や写楽を世に出したことで有名な版元・蔦屋重三郎が企画出版したもの(相版元は本石町の山崎金兵衛)です。一般向けに販売するだけでなく、掲載された遊女や妓楼が出版経費の一部を負担し、宣伝用や得意客への贈り物としても使ったものなのでしょう。


窓辺でくつろぎ、恋文をよむ岡本屋の「花つる」「よしおか」ら。夕暮れの空を雁が行く秋の風情。