2011年6月18日(土)〜2011年8月28日(日)

悪(ワル)

~資料に書き残された悪いひと~

会期
2011年6月18日(土)〜2011年8月28日(日)
料金
入場無料
展示解説
6月25日(土)・7月16日(土)
古文書講座
7月23日(土)江戸時代の“悪”を読んでみよう
連続講座
7月23日(土)史料から歴史の謎を読み解く2011
第1回「戦国時代の三河」
山田邦明氏(愛知大学教授)

こんな悪(ワル)がいた

 江戸時代、同時期に起こった事件などを印刷出版することは禁じられていました。よって実在の事件の記録は、役人などの仕事上の手控えや、奇談などを集めるのを好んだ人が手元に残した雑記などの中に、ひそやかに書き残されることがふつうでした。他人の目を意識しないこれらの書き物の中の事件は、却ってそれゆえに生彩に富み、したたかな悪ワルたちの息遣いさえ聞こえてきそうです。

<展示資料>
『賞罰林翁筆記』(109-86) 1冊 【勝名(勝谷)蔵之進一件】/『名古屋もみぢ』(75-63) 2冊 【本地村禅洞寺にて博奕】/『机の塵』(103-153) 83冊のうち第7巻 【長柄の十右衛門脱獄】/『雑聞』(75-38) 1冊 【仏壇屋の詐欺事件】/『腸包』(90-16) 5冊【飯盛女こと、公家のお姫様を騙る】/『翫亀楼一件』(112-89) 1冊 【岩亀楼主人佐吉の横領】/『野翁物語』(121-37) 3冊のうち第3巻 【辻番人市兵衛の追剥】/『東海道赤坂物語』(152-199) 5冊 【虚無僧黒塚伝八】


『翫亀楼一件』

『机の塵』




『腸包』

『野翁物語』




世上を騒がせた悪党たち

 紛れもない犯罪者でありながら、人々の喝采を浴びた悪党たち。公権力を慌てさせたり上位者に刃向ったりする姿に、厳然たる身分社会に生きる溜飲を下げたのでしょうか。それとも昨今も見られた“チョイ悪ブーム”のように、人は心のどこかに箍を外してみたいという願望を持っているのでしょうか。

<展示資料>
『伝語抜書』(102-184) 1冊 【石川五右衛門】/『机の塵』(103-153) 83冊のうち第6冊 【日本左衛門(浜島庄兵衛)】/『諸家大秘録』(99-14) 1冊 【幡随院長兵衛】/『慶寛要録』(146-68) 4冊 【由比正雪】/『燕雀論』(116-74) 5冊 【佐野善左衛門】/『大岡仁政録』(92-121) 1冊 【天一坊】


『諸家大秘録』

『大岡仁政録』




悪役のレッテル

 前章とは対照的に、罪を犯したわけではないのに世間の不評を買い、今に至るまで悪役イメージの付いて回る人々もいます。妬みや不満、果ては時の政権の失策や社会の閉塞感までなすりつけられ、実像以上に悪いレッテルを貼られてしまった悲運の悪役たちです。

<展示資料>
『忠義実録』(100-101) 2冊 【吉良上野介義央】/『護国女太平記』(84-200) 5冊 【柳沢吉保】/『伝記集成稿本』(151-178) 1冊 【田沼意次】/『文武二道万石通』(119-27) 3冊 【松平定信】/『常善随筆記』(103-151) 33冊 【鳥居耀蔵】/『恐惶神論』(147-46) 1冊 【井伊直弼】


『忠義実録』

『文武二道万石通』




脚色された悪人

 衝撃的な事件、印象的な悪人が発生すると、それを元ネタに芝居や読本がつくられました。もちろんノンフィクションでは発表できないので、名前や時代、状況設定などが変更されています。これらの作品が当たり、広く享受されるうちに、虚々実々入り混ざる脚色されたイメージの方が、独り歩きして人々の中に浸透してゆくこともありました。

<展示資料>
『役者似顔』(49-63) 2冊 【権八・小紫心中事件】【吉原百人斬り】/『竹本筑後掾芝居番付集』(90-11) 2冊 【雁金五人男】/『古今俳優似顔大全』(49-53) 2冊 【主殺し明智光秀】/『雑談雨夜質蔵』(104-49) 2冊 【日本左衛門】/『<今古実録>鼠小僧実記』(162-52) 3冊 【鼠小僧次郎吉】


『役者似顔』

『竹本筑後掾芝居番付集』




『古今俳優似顔大全』

『雑談雨夜質蔵』




悪女列伝

 時に男性以上に大胆な行動に走り、毒婦、悪婆(※)と呼ばれて世間の心胆を寒からしめた、恐ろしくも哀しい女性たちの事件簿です。※年齢は関係なく、心根の悪い女性のこと。

<展示資料>
恋蛍夜話(149-64) 1冊 【八百屋お七】/三餘漫筆(120-152) 1冊 【夜嵐おきぬ】/見聞雑記(124-127) 2冊  【白子屋おくま】/三王外記(143-12) 2冊  【絵島生島事件】/野翁物語(121-37-1/3) 3冊のうち第1巻  【駕籠屋千右衛門女房】/天保視聴記事(145-53) 4冊  【下女とみ】


『恋蛍夜話』

『三餘漫筆』


本企画展図録のご紹介

A4 16ページ 80g 300円
完売いたしました。