資料にみえる温泉風景
昔も今も温泉は人々の心や体を癒します。
岩瀬文庫にはそんな温泉に関する様々な資料がいくつも所蔵されています。
本展では、この中から個々の温泉の紹介、紀行文、温泉の功能など様々な方向から描かれた温泉を紹介していきたいと思います。
- 会期
- 2010年9月04日(土)〜2010年11月07日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 9月11日(土)・10月16日(土)
- 連続特別講座
- 9月18日(土)第2回「藤原仲麻呂の乱と西三河(仮)」
- 荒木敏夫氏(専修大学教授)
- 平井誠二氏(大蔵精神文化研究所研究部長)
- 連続シンポジウム
- 「書物の王国-愛知の文庫と典籍」(共催事業)
- 第1回:11月16日(土)「愛知県の一切経」
- 第2回:12月21日(土)「岩瀬文庫と近世・近代の文庫」
古代人の温泉風景
古より、湯は人々の心を和ませ、時には薬効のありがたみも享受していたようです。奈良時代の官撰であった『風土記』は、今日まで残るものはわずか5種類ですが、その中に温泉についての記述のあるものがあります。
<展示資料>
『訂正 出雲国風土記』(63-52)・『風土記』(115-20)
日本各地の温泉
現在、日本には3000箇所以上の温泉地があります。しかし、新しい温泉地も多く、江戸時代の資料に残る温泉となるとぐっと少なくなります。そんな中の有名な温泉地に関する資料を紹介していきます。
「西の有馬 東の熱海」
豊臣秀吉の庇護を受けて発展した攝津国の有馬温泉と徳川家康が湯治に訪れたことでその後大きく繁栄する伊豆国の熱海温泉。いずれも歴史が古く、また天下人の庇護をうけて日本を代表する温泉地となっていきます。
有馬温泉
日本書紀にその名があることから、日本最古の温泉とも言われています。奈良時代には行基による薬師堂の建立、鎌倉時代の仁西による温泉寺の再興、さらに桃山時代には豊臣秀吉の庇護を受けて大いに発展、その後、江戸時代、そして現代に至るまで関西の奥座敷といわれ繁栄しています。
<展示資料>
『有馬山勝景図』(137-8)・『日本書紀』(97-42)・『有馬温泉記付古代鐘銘』(摂州有馬温湯記)(136-29)・『稲野笹 有馬小鑑』(13-75)・『五畿内名所図会』(3-41)・『日本山海名物図絵』(16-29)
熱海温泉
天平宝字(757~765)頃、箱根権現の万巻上人が、海中に沸く熱湯で魚が焼け死に、甚大な被害をこうむっている漁民を助けるために泉脈を山里に移したことに始まると伝えられています。それまでは近接する伊豆山温泉の方が北条政子が愛した湯として有名でしたが、徳川家康が湯治に来たことによって江戸時代以降は繁栄し、今日に至るまで一大温泉地となっています。
<展示資料>
『豆州熱海道知辺』(124-101)・『熱海温泉図彙』(86-13)・『熱海之絵図』(子-356)・『漫遊文章』(26-ロ34)・『熱海温泉図考』(124-159)・『あたみ日記』(152-85)・『熱海温泉独案内』(162-184)・『熱海温泉考』(140-30)
各地の温泉
箱根温泉
『箱根七湯集』(109-11)・『長明道之記』(52-193)・『東海道名所図会』(22-46)・『温泉独案内』(31-27)・『温泉土産 箱根草』(101-86)
草津温泉
『草津温泉図』(子-290)・『草津温泉一覧』(140-3)・『草津繁昌記』(146-36)
伊香保温泉
『〈上州伊香保〉温泉名所旧跡(諸国温泉集)』(140-3)・『伊香保入湯紀行(伊香保記)』(子-384)・『伊香保道之記(伊香保のくちすさみ)』(111-45)
諏訪温泉
『木曽路名所図会』(36-12)
浅間温泉
『善光寺名所図会』(30-18)
那須温泉
『毛野浴温泉記』(101-204)
城崎温泉
『但州湯島道中独案内』(2-22)・『城崎温泉紀行』(101-184)
多田温泉
『〈摂州〉多田温泉記』(91-48)
温泉の効能―温泉を科学してみる―
<展示資料>
『温泉考』(1-10)・『温泉論』(7-33)・『温泉弁』(26-171)・『温泉一得抄』(147-52)・『日本鉱泉誌』(38-93)・『鉱泉気候療法論』(11-32)