古書の博物館 西尾市岩瀬文庫

お知らせ


【県指定文化財】吉良義央木像(華蔵寺所蔵)

 その存在はつとに知られながら、長らく所在不明であった吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)の“幻の”書状が、このほど古美術市場にあらわれ、西尾市が入手しました。書状に年は書いてありませんが、内容から延宝元(1673)年、義央33歳の時の書状だと推定されます。幕府高家として公務滞在中の京都から、江戸にいる長女・鶴姫(つるひめ)に宛てて送ったもので、娘を思いやる父親としての心情が、こまやかに書き綴られています。
 祐筆書き(秘書による代筆)ではなく、この書状は義央自筆という貴重なものです。当時まだ13歳の少女であった娘にも読みやすいよう、ひらがなを多用し、優しい語り口調で書かれています。豊かな教養を反映した見事な筆跡も相まって、義央の人間そのものに迫る重要な書状です。
 お芝居の「仮名手本忠臣蔵」での憎々しい演出の虚像があまりにも有名なため、悪しざまに言われることの多い吉良義央ですが、巷間の悪評に反し、この書状からは「慈父」とも呼ぶべき人間味あふれる義央像が浮かびます。
 義央の実像について再考のきっかけになればと願い、毎歳忌(まいさいき/赤穂浪士の襲撃で命を落とした吉良義央の命日法要。12月14日に菩提寺の華蔵寺でいとなまれる)にあわせて特別公開します。幕府の能吏でも芝居の憎まれ役でもない、ただ娘や家族を思う一人の父の姿をご高覧いただけましたら幸甚です。

会 期 令和2年12月12日(土)~27日(日)
会 場 岩瀬文庫 1階ギャラリー
観 覧 料 無料