耕す
岩瀬文庫の農書の世界
古来より日本人は稲作を始めとする農業を盛んに行ってきました。律令制以降、稲は税として、また特産物は献上品として納められるなど、農作物は重要なものであり、また収益を得るため、自ら生きていくためには、かつては日本で一番多数を占めたであろう農民の役割は大きなものでした。今回の展示では、江戸時代を中心とする農業に関する書、「農書」を取り上げ、かつての農業に対する姿勢や様々な知恵、農作業風景などについて取り上げます。
- 会期
- 2012年9月08日(土)〜2012年11月11日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 9月15日(土)・10月13日(土)
江戸時代の農書
江戸時代、より多くの生産性を高めるため、あるいは農具や農業の技術向上をめざし、様々な記録物が刊行されるようになりました。より多くの農民に知ってもらおうという意欲の現われともいえましょう。
<展示資料>
『農業全書』(13-79)・『百姓伝記』(148-106)・『成形図説』(43-16)(154-53)・『耕稼春秋』(46-23)・『耕作仕様考』(95-191)
農を描く
<展示資料>
『佩文耕織図』(49-42)・『大和侍農絵づくし』(22-イ65)・『百人女郎品定』(140-148)
農業を広める―江戸時代から明治時代の農学者―
大蔵永常
『農家益』(57-12)・『農家益後編』(57-5)・『農家益続編』(57-5)・『製葛録』(16-102)・『除蝗録』(34-63)・『除蝗録後編』(15-57)・『広益国産考』(10-49)
織田完之
『農家矩』(47-イ49)・『大日本農史』(24-120)・『鷹州織田完之翁小傳』(35-ニ56)
耕す道具
耕作を行なうためには様々な道具が必要です。同じ道具でも地域ごとに特徴的な道具、名称が異なる道具も数々あったようです。農書の中にはその一部に道具について記したものや道具を専門に記した書物も刊行され、農民の利便に供したようです。
<展示資料>
『農具便利論』(29-34)・『農具図』(154-76)・『山城丹波農具ノ図』(154-76-1/5)・『日高郡農具絵図』(154-76-2/5)・『農具絵図面』(154-76-3/5)・『広島県下農具絵図』(154-76-4/5)・『農具解説 群馬県』(154-76-5/5)
様々な産物
江戸時代、農業の中心は稲作でしたが、ほかにも様々な産物を栽培していました。おもに、江戸や大坂などの大都会の町人のニーズがあったからといわれています。それが永常などが主張しているような工芸作物の栽培に力を入れていくことになり、各地で特産品が生まれました。
<展示資料>
茶
『製茶図解』(10-72)・『日本山海名物図会』(16-29)・『敏馬浦茶製方』(4-81)・『蚕茶楮書』(136-44)・『茶務僉載』(152-105)
葛
『教草一覧集』(49-2)・『葛わらびかたくり製粉一覧』・『日本山海名産図会』
蜜柑
『日本山海名物図会』
かぶ
『日本山海名産図会』
牛蒡
『日本山海名物図会』