岩瀬文庫怪談尽くし
怪談、お好きですよね?
科学が進んだ現代でも、映画や小説、テレビ等々の世界で怪談人気は衰えません。江戸時代でもそれは同じ。むしろそれ以上に、上つ方から庶民まで、知識人から子どもまで、多彩な怪談文化を楽しんできました。そしてこれら怪談には、スリルを求める好奇心だけではなく、自然への畏敬、死者への哀悼、人間への欲望や執着心を戒める教訓、世の不条理や無常の風刺など、さまざまな感情や意図が込められています。
怖い、だけじゃない怪談本の世界。どうぞ、ご堪能下さい。
- 会期
- 2012年6月16日(土)〜2012年9月02日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 6月30日(土)・7月28日(土)
- 古文書講座
- 7月21日(土)「江戸時代の怪談を読んでみよう」
- その他
- 8月19日(日) 怪談ナイトin岩瀬文庫
怪談を集める
“怪談”とは、幽霊や化け物の登場する、恐ろしく不気味なお話のこと。豊かな書物文化、出版文化が花開いた江戸時代、日本各地の怪談を集めた怪談集は庶民から知識人まで、幅広い人気を得ていました。これらは、読んでヒヤッとするだけではなく、因果応報や勧善懲悪、過度の欲望や執着、心の迷いを戒めるといった宗教的道徳的教訓や、自然への畏敬、死者へ哀悼といった感情も込められています。
<展示資料>
『諸国因果物語』(39-96)・『曽呂里物語』(97-82)・『伽婢子』(73-110)・『新御伽婢子』(78-42)・『犬張子』(145-79)・『廻国一夜宿』(135-8)・『怪談笈日記』(57-1)・『怪談全書』(19-58)・『浄土勧化扶桑怪談弁述鈔』(35-67)・『<野史種百章>怪譚破几帳』(75-34)・『煙霞綺談』(146-181)
怪談に出逢う。
江戸時代の知識人には筆まめな人が多く、身の回りの小さな事件や面白いうわさ話を随筆や日記という形で書き残してくれています。こうした本からは、江戸時代人が日常的に怪談をどのように聞き、どのように感じたかという生の反応をうかがい知ることができます。
<展示資料>
『想山著聞奇集』(136-49)・『文政街談』(152-117)・『甲子夜話』(113-3)・『積翠閑話』(122-81)・『見聞随筆』(136-54)
怪談を創る。楽しむ。
創作(フィクション)の世界でも、物語をより悲劇的に、刺激的にするために怪奇表現は重要な要素でした。また、草双紙や読本といった大衆小説、歌舞伎や狂言などの舞台、浮世絵などに登場し、人気を得た幽霊や妖怪たちは、さらに新たな個性(パーソナリティー)を得て、メディアやジャンルの枠を超えて活躍しました。
<展示資料>
『西鶴織留』(23-120)・『雨月物語』(76-93)・『死霊解脱物語聞書』(23-68)・『復讐安積沼』(67-60)・『つぼすみれ』(81-9)・『稲亭物怪図説』(153-113)・『武陽観場画譜』(午-94)・『狂歌百鬼夜興』(157-60)・『古版双六』(午-88)・『怪談奇発情』(119-262)・『諏訪湖狐怪談』(9-26)・『<信田小太郎小山判官>新板累物語』(29-61)・『画図百鬼夜行』(5-56)
近代人と怪談
明治以降、西洋から新しい学問や文明が入ってくると、怪談へも従来とは異なる視線が注がれるようになりました。しかし、怪談を怖れ、楽しむ日本人が消えてしまったわけではありません。新しい時代には新しい闇が生じ、そこでは常に新しい怪談が生まれ続けているのです。
<展示資料>
『真怪』(158-75)・『夜窓奇談』(141-81)・『怪談物語』(1-38)・『幽霊とおばけ』(120-40)・『日本妖怪変化史』(154-125)・『絵画に見えたる幽霊』(162-234)・『山の人生』(169-76)