〈岩瀬文庫資料から見る!〉SENGOKU
~いくさと武将の記憶~
それまでの秩序が瓦解し、実力ずくで権威や身分が否定された時代―戦国時代。日本史上かつてない、破壊と再生のエネルギーに満ちた時代でもありました。同時代に生きていた人々は実際に目の前で起っている戦闘を記録している余裕などなかったのか、戦国時代を記した記録や文学の多くはもっぱら江戸時代に入ってからのものです。生き永らえた人たちがほっと一息ついた時、苦しかった前時代の記録を後世にとどめ遺そうという気持ちになったことは想像に難くありません。また太平の世が続き、侍たちのいくさの記憶も遠くなってゆくにつれ、合戦の様子や軍陣儀礼、武将の生き様などを、敢えて学ぼうとする流行もありました。活躍した英雄たちの逸話が伝承化されて人々に受け入れられ、芝居や講談となってさらに広がってゆくこともありました。
本展では、そんないくさや武将の資料をとおして、こんにちに伝えられた戦国乱世の様子を垣間見てみます。また、これまでご紹介の機会のなかった西尾市指定文化財の戦国武将文書や、新たに発掘された中世城館跡も併せてご紹介します。
- 会期
- 2010年6月19日(土)〜2010年8月29日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 6月26日(土)・7月31日(土)
- 古文書講座
- 8月28日(土) いくさの記録を読んでみよう
- 連続講座
- 7月24日(土)第1回「今川氏再考~三河から駿河へ、栄枯の歴史をたどる~」
- 湯之上 隆氏(静岡大学教授)
I.いくさの記録
合戦場の地形や軍勢配置などを記した絵地図、戦闘の経緯を綴った軍記、実録風読み物など、いくさの様子を今に伝える資料を展示。
<展示資料>
『桶狭間古戦場之図』(子-228)・『賤ヶ岳戦役図』(子-1)・『長久手安見図』(139-16)・『関ヶ原合戦人数配図』(子-20)・『天正記』(148-35)・『三州長篠戦記』(146-205)・『遠陽軍記』(146-90)・『御庵物語』(55-10)・『川中島合戦記』(111-38)・『大坂物語』(158-116)
Ⅱ.戦国の様式美
武器・武具の解説や取り扱いのしかた、軍陣作法、戦場における心得など、戦闘に臨む武士たちの儀礼や美学などをうかがい知ることのできる資料を展示。
<展示資料>
『御旗印』(126-10)・『諸将旗旌図』(141-102)・『武者物語』(76-10)・『本朝甲剣録』(67-106)・『武器図考』(67-87)・『軍用記』(143-95)・『雑兵物語』(33-93)・『鳥雲備画』(子-2)
Ⅲ.武将の記憶
強烈な個性で乱世を生き抜いた武将らの生き様や逸話などを著した資料、および市指定文化財の戦国武将文書を展示。
<展示資料>
『名将言行録』(8-38)・『常山紀談』(2-38)・『古今武家盛衰記』(30-19)・『信長記』(18-10)・『太閤記』(153-127)・『甲陽軍伝解』(102-97)・『真田三代実記』(52-124)・『北条五代記』(72-13)・『政宗記』(97-109)・『今川氏真感状(「稲垣平右衛門同藤助古文書」)』(丑-11)
<参考出品>
「今川義元寄進状」 市指定文化財 法光寺蔵 永禄元(1558)年8月晦日付 法光寺宛
「織田信長書状」 市指定文化財 個人蔵(天正9/1581年)2月19日付 徳川家康宛
「北条氏直軍勢催促状」 市指定文化財 個人蔵(天正12/1584年)9月7日付 太田越前守宛
Ⅳ.西尾の戦国
鎌倉時代以来の領主・吉良氏と、勢力を伸張する織田・今川・松平氏との激しい攻防の地であった西尾。その痕跡がうかがわれる資料を展示。
併せて市内の戦国期関連遺跡一覧、今春新たに発見された戦国期の城館跡をパネルで紹介。
<展示資料>
『西尾城由来書』(18-12)・『三河国古城屋敷』(102-148)・『三河国二葉松』(23-102)・『三河刪補松』(73-42)・『三河物語』(6-35)・『岡崎領主古記』(76-113)