西尾人、本を書く
~岩瀬文庫の西尾資料(三)~
- 会期
- 2010年4月03日(土)〜2010年6月13日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 4月24日(土)・5月29日(土)
- 体験講座
- 6月5日(土) 和装本を作ってみよう
貴重な古書籍を求めて全国から研究者が訪れる岩瀬文庫。しかし一方で、岩瀬文庫は地元西尾資料の宝庫でもあります。ふるさと西尾の教育と文化の向上に力を注いだ文庫創立者の岩瀬弥助は、『岩瀬文庫図書目録』に「三州資料」の部門を設け、積極的に郷土資料を収集し、公開しました。また、地元の文化人たちも、自らの著書や蔵書を寄贈し、その充実のために協力しました。
こうした西尾資料をご紹介する企画展の第三弾として、目録の「三州資料」のうち、“編著書”“書画”“哲学・教育”“政治・法律・財政”“産業”“統計”“雑書”の項目から主なものを展示します。これらの多くは西尾人が書き記したり、出版に携わった本です。これらの本を通して、昔むかしの西尾の町の面影や、かつてこの地に生き、働き、学び、楽しみ、思索し、探求した人々の姿を感じていただければ幸いです。
『西尾講演集』(63-159)に、西尾町教育会が明治44年2月17日に岩瀬文庫で行った講演会が記録されています。愛知県立農林学校長山崎延吉の『進歩ノ階段』と題した講演中、「…進歩のための第一段は、熱心に「聞く」ことである。(略)第二段は、「見る(読む)」ことである。外国では進歩的な町には必ず図書館があり、毎日開館し、人々はいつでもどこでも本を読んでいる。西尾にも立派な図書館が出来て、日曜日ごとに開館しているそうだが、誠に閑散とし、高価な本が庫の中で泣いているという。日本人にはまだ本を読む習慣がないのだろうが、進歩の第二段を上るためには、もっと本を読まなければならない…」と呼びかけています。欧米先進諸国の背中を追いかけ、国の近代化へと邁進していた時代、西尾の人々に投げかけられたこの言葉は、図書館の役割の重要性とそれを活用する人々の意識向上の必要性を強く訴えたものです。およそ100年という時を経て文明が進んだ現代でも、この言葉は決して色あせるものではありません。
<展示資料>
1 鴻臚(手偏に庶)華(76-132) 1冊
2 鶴城記(146-225) 1冊
3 西尾私史(91-188) 2冊
4 『西尾町史』原稿(参考資料) 2冊
5 診候方訳(162-148) 1冊
6 随宜軒雑記(160-18) 20冊
7 愛知県植物志料(176-6) 2冊
8 筒井秋水遺書(166-156) 21冊
9 秋水存稿(27-46) 2冊
10 独語(147-67) 1冊
11 隻身漫録(170-99) 1冊
12 千秋亭歌集(180-31) 1冊
13 冥樞会要(101-160) 3冊
14 三世因果実験録(4-30) 4冊
15 仏説金剛寿命陀羅尼経(子-304) 1冊
16 快楽院談話集(146-212) 2冊
17 吾嬬路の日記拾遺(24-86ロ) 3冊
18 小槌 (58-50ロ) 1冊
19 政香雑録(168-84) 17冊
20 壬辰泉彙(122-42) 1冊
21 酔花図誌(4-9) 1冊
22 金言俚諺 心の糧(172-56) 1冊
23 松山智堂之書 (72-35) 10冊
24 西尾八景(49-89) 11冊
25 短冊帖(49-31イ) 2冊
26 愛知県公私立図書館 記念写真帖(50-31) 1冊
27 旧西尾藩学政一斑(180-23) 1冊
28 西尾郷村雑書(183-19) 1冊
29 三河国郡村高記(152-187) 1冊
30 矢曽根村に関する家康公御朱印写(酉-14) 1冊
31 遠江三河 御高帳(40-18) 1冊
32 徳川家慶端午黒印状(寅-276) 1冊
33 西尾藩政時代殖産興業に関する概要(83-24) 1冊
34 海藻調査報告(58-59) 1冊
35 山家樵談(149-45) 1冊
36 愛知県写真帖(130-34) 2冊
37 帝国在郷軍人会西尾町分会史(171-129) 1冊