2009年8月29日(土)〜2009年11月08日(日)

まつりの歳時記

災厄を避け、平穏で幸せな日々を送りたい…そんな切なる願いを込めて、人は折々に神仏に祈りを捧げます。季節の移り変わりがくっきりとした我が国では、その節目ごとに性質の異なる神祀りがあり、生活風土のなかに溶け込んで一年のくらしのリズムをかたちづくってきました。本展では、岩瀬文庫が所蔵する年中行事解説書などをとおして人々のまつりと祈りの姿をかいま見、自然の恵みや人知を超えた力に畏敬と感謝を奉ってきた日本人のくらしの四季を紹介します。

会期
2009年8月29日(土)〜2009年11月08日(日)
料金
入場無料
展示解説
9月12日(土)・10月10日(土)
特別連続講座
「史料から歴史の謎を読み解く」
学術創成費「目録学の構築と古典学の再生」研究グループ共催
9月19日(土)第4回「古代・播豆の地域史を探る」
荒木敏夫氏(専修大学副学長)

春の慶び

 一年のはじまりである春。さまざまな招福や厄祓(はら)いの儀式、また農耕の事始を祝う神事など、春の神祀りには命の再生を喜び、旧(ふる)き年のこもごもをリセットし、この一年が幸せなものであるようにとの期待が込められています。

<展示資料>
とこしなへ・俳諧図会・諸国図会年中行事大成・絵本小倉錦・尾張名所図会・雛遊貝合の記・天児万守


『とこしなへ』正月

『絵本小倉錦』初午




『雛遊貝合の記』ひなまつり


夏の祈り

 梅雨や暑さを迎える季節、人々は疫病の流行を恐れ、ことに人口の集中する都市部では疫神(えきじん)を鎮めるための盛大な夏まつりや、厄や穢(けが)れを祓う行事が行われます。一方で農村部では最も大切な田植えの時期を迎え、稲の健やかな成長を願う祈りが捧げられます。

<展示資料>
東都歳時記・日本歳時記・諸国図会年中行事大成・世諺問答・幼稚遊昔雛形・都名所図会・諸国六十余州名所図会・肴町大やっこ之図(個人蔵)・西尾八景・五畿内名所図会・銀河草紙・七夕朗詠集・七夕の説


『諸国図会年中行事大成』茅の輪神事

『西尾八景』虫送りの図




『諸国六十余州名所図会』津島天王祭




秋の感謝

 涼風を感じられるようになる頃、嬉しい収穫の時期がおとずれます。見守ってくれた神に、祖霊に、そして力を合わせた共同体の仲間たちに感謝を捧げ、ともに喜び合う実りの季節の到来です。

<展示資料>
菱川月次のあそび・四季遊覧江戸年中行事・徳川盛世録・伊勢参宮名所図会・播磨国総社図会・江戸名所図会・神職宝鑑


『徳川盛世録』重陽の節句

『伊勢参宮名所図会』神嘗祭



『江戸名所図会』飯倉神明社秋祭






冬の仕舞い ~そして新たな春へ~

 日ごと短くなる日照とともに、人々の気持ちもそろそろしめくくりへと収斂(しゅうれん)してゆきます。一年の無事に感謝し、さらなる発展を祈りつつ次の年を迎える準備が始まります。こうして歳時記は巡り、再び春へと還るのです。このよき循環が永遠に繰り返されるようにとの願いをこめて。

<展示資料>
諸国年中行事項目・天和長久四季あそび・本朝歳時故実・年中行事故実考・節分及正月行事図・鬼面(徳永神明社蔵)


『節分及正月飾図』節分

『本朝歳事故実』煤払い




『諸国年中行事綱目』えびす講




本企画展図録のご紹介

A4 16ページ 130g 300円
完売いたしました。