ヘルス&ビューティー
~いにしえびとの“健康・美容”情報おしえます~
現代は世を挙げての健康志向。テレビで、雑誌で、インターネットで、巷には健康や美容の情報があふれています。
けれど人々が「健やかで美しくありたい」と願うのは、なにも今にはじまったことではありません。たとえば江戸時代にも、「○○には××が効く」、「△△が体によい」等々について書かれた本がたくさん読まれていました。
本展では岩瀬文庫の蔵書の中から、そんなむかしの“健康・美容”情報本をご紹介します。
ただし、効果のほどは保証の限りではありませんので悪しからず?!
- 会期
- 2007年4月07日(土)〜2007年6月03日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- 4月21日(土)
- 古文書講座
- 5月26日(土) 江戸時代の健康情報本を読んでみよう!
名医かく語りき
江戸時代には、医師による「養生本」がよく書かれました。それはとりもなおさず、そういった本の需要が多かったということでしょう。「養生」とは、身体と精神を適切にコントロールすることによって健康を保ち、医薬品の対症療法や医師の治療に頼らずともよい、病をよせつけぬ体を維持して長寿を得るという考え方です。心身を健やかに保つ秘訣を縷々解説した「養生本」、さてお医者さんたちはどのように説いているのか見てみましょう。
<展示資料>
『延寿撮要(えんじゅさつよう)』(166-90) 1冊 『養生要論(ようじょうようろん)』(162-76) 1冊
『長命衛生論(ちょうめいえいせいろん)』(160-19) 3冊 『炉辺閑話(ろへんかんわ)』(30-54) 1冊
『養生法(ようじょうほう)』(101-118) 2冊 『養生随筆(ようじょうずいひつ)』(84-49) 1冊
『万宝鄙事記(ばんぽうひじき)』(3-21) 8冊
「老人養生心得の事」
1.口数を少なく 2.色欲を慎む 3.食事は薄味
4.唾を吐かずに飲む 5.腹を立てない 6.飲食は軽めに
7.あれこれ心配しない
これで元気に ~健康法あれこれ~
病を治すため、あるいは健やかな心身を保つため、医者にかかったり薬を飲んだりする以外にも、様々な健康法や治療法が考えられ、ひろく実践されていました。現代でも「伝統医療」「代替医療」として受け継がれているものもあり、西洋医学とは違った視点から病や健康にアプローチしています。
<展示資料>
『瀑布効能記(ばくふこうのうき)』(162-256) 1冊 『<白隠禅師(はくいんぜんじ)>夜船閑話(やせんかんな)』(52-73) 1冊
『延寿帯効用略記(えんじゅたいこうようりゃっき)』(107-27) 1冊 『按摩手引(あんまてびき)』(14-99) 1冊
『温泉考(おんせんこう)』(1-10) 1冊 『邪兇咒禁法則(じゃきょうじゅごんほっそく)』(107-23) 3冊
嗜好品とのつきあいかた
生きてゆくために不可欠というわけではないけれど、緊張をほぐし気鬱を散ずる、心にとっての栄養素のような効果をもたらす嗜好品。その代表格たるタバコ・茶・酒と、むかしの人はどうつきあっていたのでしょう。
最初の出逢いはいずれも薬としてであったようです。現代では何かと肩身の狭いタバコも、その薬効が称揚されています。しかし過ぎたるは良くないとみえ、お茶でさえも過剰摂取は戒められています。やはりほどほどに嗜むのがよろしいようで…。
<展示資料>
『焉録(えんろく)』(17-21) 2冊 『煙草記(えんそうき)』(78-65) 1冊
『茶史(ちゃし)』(119-379) 1冊 『茶茗功能記(ちゃめいこうのうき)』(84-179) 1冊
『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』(34-41) 81冊 『智慧(ちえ)の蔵(くら)合本(がっぽん)』(29-4) 10冊
健康は食から
中国を中心とする東アジア文化圏では古くから、食べ物の性質と体の調和をはかって健康を保つという「医食同源」の発想に基づき、食品の効能を研究する「食物本草(食療本草)」という学問を発展させました。中でも江戸時代の日本では、日常的に口にする飲食物についての食物本草が広く社会へ浸透し、人々の食・医療・健康・病気に対する考えのもととなっていました。現代的な観点から見たら、信憑性や根拠に乏しいものも中にはあるかもしれません。しかし人々は、長い時間をかけて経験知を積み上げ、真摯に食物と向き合って来たのです。
<展示資料>
『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』(22-78) 12冊 『大和本草(やまとほんぞう)』(2-67) 17冊
『本草歌(宜禁本草集要歌)(ほんぞうか<ぎきんほんぞうしゅうようか>)』(18-5) 2冊
『拾芥抄(しゅうがいしょう)』(140-87) 6冊 『<増補(ぞうほ)>飲膳摘要(いんぜんてきよう)』(4-15) 1冊
『家鴨録(かおうろく)』(95-265) 1冊 『<魚貝(ぎょかい)>能毒品物図考(のうどくひんぶつずこう)』(31-37) 1冊
『牛乳考(ぎゅうにゅうこう)』(66-64) 1冊
「一、いり豆は大温血気うごかして かゆがり生じ心くるしむ
一、いもざけに鶏卵・胡椒・塩そへて 陰なへよハく立ざるによし
一、いぬハよく上気を下ぐる頭風にもよき薬なり常に食せよ
一、鰯平腎を補ひ目にも吉 赤いはらわた中風にぞよし」
キレイになりたい ~美容法・化粧法~
日本は、世界的に見ても早い段階で庶民層にまで美容やお化粧が浸透した国です。江戸時代には、歌舞伎役者や遊女など身分的には下層とされる人々がファッションリーダーとなって、いわばストリート発信のおしゃれやメイクアップが人々に広がり享受されるという、非常に“現代的”な風潮がありました。また、出版文化の隆盛ともあいまって、美容や化粧に関する“マニュアル本”もたくさん出されました。
<展示資料>
『<女子風俗(おなごふうぞく)>化粧秘伝(けわいひでん)』(17-36) 3冊
『<万宝珍術(まんぽうちんじゅつ)>秘密蔵(ひみつぐら)』(122-5) 1冊
『女重宝記(おんなちょうほうき)』(22-83) 5冊
『<当世化粧(とうせいけしょう)>容顔美艶考(ようがんびえんこう)』(120-97) 2冊
『<民家日用(みんかにちよう)>広益秘事大全(こうえきひじだいぜん)』(67-59) 5冊
『新式化粧法(しんしきけしょうほう)』(63-110) 1冊