悪疫退散
- 会期
- 2021年2月06日(土)〜2021年5月23日(日)
- 料金
- 入場無料
- 展示解説
- ①3月28日(日)・②4月25日(日) 午後2時~
- 地階研修ホール ※どちらも同じ内容です。
- ※要予約。2月27日(土)午前9時から電話または直接岩瀬文庫へ
- 古文書講座「江戸時代の疫病の記録を読んでみよう!」
- 日時:5月23日(日)①午前10時~11時30分 ②午後1時30分~3時 ※どちらも同じ内容です。
- 会場:岩瀬文庫地階研修ホール
- 資料代:100円
- 定員:①②ともに15名
- ※要予約。5月9日(日)午前9時から電話または直接岩瀬文庫へ。
- 姫魚さまに願いを ~姫魚ぬりえ作品展~
- 会期:2月6日(土)~28日(日)
- 会場:1階ギャラリー
- 江戸時代に疫病除けのお守りとして尊ばれた「姫魚図」のぬりえ作品展
- 岩瀬文庫のミニミニひなまつり
- 会期:2月9日(火)~3月28日(日)
- 場所:1階休憩室(10:00~16:00)
- 小さなひな飾りがならぶコーナー展示。
- ※「ひなまつりスタンプシールラリー」は緊急事態宣言延長のため中止になりました
- 連続講座 史料から歴史の謎を読み解く2020
- 第2回「三河国造・穂国造の謎?を解く」
- 講師:田島公 氏(東京大学史料編纂所教授)
- 日時:3月21日(日)午後2時~午後3時30分
- 会場:岩瀬文庫地階研修ホール
- 定員:30名
- ※要予約。3月6日(土)午前9時から電話または直接岩瀬文庫へ。
一、疫病の記録
「疫病」は、えやみ、疫癘(えきれい)、時疾(じしつ)などとも呼ばれ、一定の時期に同様の症状で多数の人が罹る病気の総称で、現代でいうところの悪性の伝染病をさします。人類の歴史は、疫病の脅威に襲われた繰り返しの歴史でもあります。その危機を生き抜いた人は後の世のために様々な記録を残しました。彼らの苦悩や行動は、現在感染症蔓延の渦中を生きるわたくしたちに、共感と教訓をもたらします。
3 日本書紀
6 異本病草紙
10 後昔安全録
5 栄花物語
二、疫病を祓い清める
ウィルスなどの概念のなかった時代、疫病は神の怒りや災厄をもたらす悪鬼の仕業と考えられました。そこで人々は、神仏の力にすがり、祭祀によって疫病の禍を祓おうとつとめました。先人たちの切なる願いが込められた悪疫祓いの祭祀は、今もわたくしたちの生活に残っています。
13 道饗の祭
14 追儺(節分)
16 端午の節句
18 祇園会・天王祭
三、医師たちの奮闘
病が蔓延する中、そのたたかいの最前線に立つのはいつの時代も医師たちです。自らの感染リスクに臆することなく患者を診察し、その原因を探り、有効な治療法を見出そうと必死に挑んだ医師たちの姿がそこにはありました。現代的な観点から見たら、必ずしも正解ばかりではないかもしれません。しかし限られた条件の中、真摯に取り組んだその軌跡には、深い畏敬の念に打たれます。
20 医学天正記
21 溫疫随筆
24 疱瘡心得草
26 コレラ病論
四、恐怖に打ち克つために
江戸時代には疫病よけの様々なおまじないやお守りが人気を博しました。また疫病や死を笑いのネタにした本も好まれ、よく出版されています。現代なら「非科学的だ!」「不謹慎だ!」などと叩かれてしまいそうですが、お守りで不安を落ち着かせたり、笑い飛ばすことで客観視したり、こうして心のバランスをとりながら過酷な現実と向き合い、怯まず日常を継続してゆこうというのでしょう。この江戸時代人の健全な勁(つよ)さは、今のわたくしたちにも参考になりそうです。
28 姫魚図
30 諸星真形譜
32 麻疹御伽双紙
35 <末代噺語>掃寄草紙
五、そしてたたかいは続く~近代の疫病対策~
多くの疫病の病原体が次々と発見された19世紀、「敵」の正体がわかり疫学研究や医療技術が進みました。一方で、拡大した人や物の交流がより広範囲な感染をもたらすようになったのもまた近代です。最新の西洋医学や衛生教育を積極的に取り入れた日本では、明治30(1897)年、「伝染病が個人的にも社会的にも害を及ぼすことを防止し、もって公共の福祉を増進すること」を目的として伝染病予防法が制定されました。この理念は平成11(1999)年制定の感染症法に受け継がれ、社会一丸となった疫病=感染症とのたたかいは、止むことなく今日も続いています。