2023年9月16日(土)〜2023年10月05日(木)

岩瀬文庫リニューアル20周年を振り返る~序~

明治41(1908)年に実業家・岩瀬弥助が書物を通じての社会貢献を願って設立し、平成15年に「古典籍の博物館」としてリニューアルオープンした岩瀬文庫は、今年度20周年を迎えました。
令和6年2月から開催予定の記念企画展「古典籍の博物館 岩瀬文庫のあゆみ」の序章にあたる本展では、「岩瀬文庫といえばこの本!」という8万冊を超える古典籍の中から選ばれた書物たちをご紹介します。

会期
2023年9月16日(土)〜2023年10月05日(木)
料金
入館無料
展示解説
日時:9月23日(土)午後1時30分~
会場:岩瀬文庫企画展示室  ※予約・料金不要

Ⅰ 岩瀬文庫のあゆみ

西尾市内の実業家・岩瀬弥助が書物を通じた社会貢献と書物の恒久保存を願い、明治41(1908)年に私立岩瀬文庫を設立しました。弥助の没後、財団法人化されましたが、戦争や大地震によって文庫の存続が危うくなると、文庫の窮状や蔵書の散逸を憂慮した市民が立ち上がり、様々な運動が展開されました。その努力が実り、岩瀬文庫は西尾市の施設となり、平成15(2003)年に古典籍の博物館・西尾市岩瀬文庫としてリニューアルオープンしました。


私立図書館時代の岩瀬文庫。明治41(1908)年5月6日に開館。




弥助が伊文神社に奉納した灯籠。弥助の文庫設立の決意が刻まれている。

灯籠碑文の拓本



増築された2代目書庫(現旧書庫)と池の上にせり出した貴賓室。書庫は国の登録有形文化財(平成11年登録)。貴賓室は館調質とも使用され、晩年の弥助はここで図書整理に没頭した。

閲覧室。閲覧室は誰でも無償で書物を公開した。また別に女性専用の閲覧室もつくられた。




昭和5(1930)年の岩瀬弥助の没後、岩瀬文庫はその遺言に従って財団法人となりました。蔵書を増やし、着実に活動を続けますが、昭和12(1937)年に日中戦争が勃発すると、財団基金を国へ献金し、金属備品も供出が行われ、文庫の経営は苦しくなっていきました。さらに追い打ちをかけるように、昭和20(1945)年1月13日の三河地震で本館をはじめ多くの建物が崩れ落ち、頑丈につくられた旧書庫は東海には至りませんでしたが書架が倒れて本が散乱しました。終戦後も修理はままならず、ついには蔵書の売却が検討されることになりました。


『岩瀬文庫後援会会員名簿』 文庫の存続を願う西尾の人々によって設立した後援会の会員名簿。




こうした市民たちの活動によって西尾市が財団法人から岩瀬文庫の蔵書を買い取り、昭和30(1955)年に岩瀬文庫の土地・建物が西尾市に寄付され、「西尾市立図書館岩瀬文庫」として再出発しました。そして現在


平成15年に古典籍の博物館・西尾市岩瀬文庫としてリニューアルオープン




Ⅱ 岩瀬文庫の蔵書たち

西尾市岩瀬文庫は、文化財に指定された古典籍から近代の実用書まであらゆるジャンルと時代の書物8万冊余りを所蔵しています。そのなかから当文庫を代表する古典籍の数々をご紹介します。


〈重要文化財〉『後奈良天皇宸翰般若心経』(辰-78)

『八幡書庫記』(113-1)




『枕草紙』(103-164)

『禽品』(卯-17)




『ささやき竹物語』(午-35)




『〈女子風俗〉化粧秘伝』(17-36)

『犬狗養畜伝』(119-239)