2024年5月18日(土)〜2024年8月18日(日)

昔むかしのSDGs

SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)とは、人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき世界共通の目標です。
SDGsと聞くと何だか新しい取り組みのように感じますが、かつての日本人は、SDGsの考え方とよく似た自然観や文化のもとで生活をしていました。先人たちの「豊かに生きる」営みの中には、今私たちが目指す「持続可能でよりよい世界」を達成するためのヒントがたくさん隠されています。
本展では、岩瀬文庫の蔵書を通し、昔の暮らしをSDGsの視点で見つめます。

会期
2024年5月18日(土)〜2024年8月18日(日)
料金
入館無料
関連イベント
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第1章 無駄にしない


私たち日本人には「もったいない」という言葉があります。物が無駄になるのが惜しい、そんな思いは古くからありました。江戸時代の人々は、資源を使い切るプロです。限られた資源で生活が賄えるよう、余分な物は手に入れず、不用品・廃棄品と思われるものまで余すことなく利用しました。まさに江戸時代のReduce(リデュース=ごみを出さない)です。
そんな無駄のない江戸時代の暮らしの知恵をご紹介します。


必要な時、必要な分だけ | 「和国諸職絵つくし」『日本名所風俗図絵』(140-166)より

いらないものはない | 『尚倹撮用』(84-30)



命をいただく-捕鯨と人々- | 『鯨肉調味方』(24-89)



4_『日本名所風俗図絵』より「和国諸職絵つくし」


6_『尚倹撮用』


9_『鯨肉調味方』



第2章 大切に、長く使う


江戸時代には都市部を中心に多くの修理業者が存在していました。壊れたものは直して使う、それが当時の人々の当たり前でした。
修理屋と呼ばれる職業は物ごとに細分化されており、多くの雇用を生みました。さらに、ちょっとした修理であれば自力でできるよう、修理方法を紹介する家庭書なども普及しました。
物を大切にする気持ちや少ない資源から多くを生み出す工夫で、人々は豊かに暮らしてきたのです。


直して使う-修理の専門業者- | 『<彩画>職人部類 (46-18)』

家庭で実践!実用書 | 『<民家日用>広益秘事大全』(67-59)



古着の文化 | 『江戸名所図会』(35-61)



13_『〈彩画〉職人部類』


14_『〈民家日用〉公益秘事大全』


17_『江戸名所図会』



第3章 めぐりめぐる


今ではずいぶん浸透したリサイクル(再生利用)という考え方も江戸時代の人々の得意技です。町には様々な回収業者が歩き、紙屑、古傘、金属などを集め、再生して使いました。また、廃棄をせずリサイクルを繰り返すことで資源の循環が生まれていました。
さらに、資源の循環が起きていたのはモノだけではありません。江戸時代には森林資源の危機を経て山の整備や育成林業がはじまり、森林保護と木材供給の両立を目指しました。




リサイクル | 『百人女郎品定』(140-148)

循環する-食の循環- | 『農業花暦』(寅-94)

循環する-衣の循環- | 『農具便利論』(29-34)

山林を守る | 『七宗御留山絵図』(子-176)



20_『百人女郎品定』


24_『農業花暦』


25_『農具便利論』


28_『七宗御留山絵図』



第4章 よりよく生きる


江戸時代の人々は、身分制度などの制約はありつつも、それぞれの知恵と工夫でいきいきと暮らしていました。多くの子どもに初等教育を受ける機会が設けられ、人々は多様な職業のもと逞しく働き、日々の糧を得ていた様子が資料から垣間見えます。心身の健康にも関心が高く、健康法を記した本が数多く出版されました。
また、現代のように便利な家電や道具がなくとも、あるものを最大限工夫して利用し、楽しみながら生活していました。その姿勢は、今私たちが失いかけている感性を思い出させてくれます。


学ぶこと | 『主従心得草』(82-30)

働くこと | 『北斎漫画』(73-49)



健康に生きる | 『延寿撮要』(166-90)

夏を涼しく | 『<絵本>江戸みやげ』(47-72)



31_『主従心得草』


32_『北斎漫画』


33_『延寿撮要』


34_『〈絵本〉江戸みやげ』


関連行事

展示解説
【日時】
 ①令和6年6月2日(日)午後1時30分~
 ②令和6年7月27日(土)午後1時30分~
【会場】
 岩瀬文庫2階企画展示室 ※予約・料金は不要

ワークショップ「綿とあそぼう」
 ①綿を紡いでオーナメントをつくろう
  綿から糸を手で紡ぎフレームに織り込んでオーナメントを作ります。
 ②糸車で糸紡ぎに挑戦!
  糸車を使って本格的な糸紡ぎを体験します。
【日時】
 令和6年6月8日(土)午前9時30分~12時00分
【講師】
 手織三河木綿保存会 西尾工房
【対象】
 ①小学生以上 ②中学生以上 ※小学生は保護者同伴
【会場】
 旧糟谷邸(吉良町荻原大道通18-1)
【定員】
 ①10名 ②5名 ※申込先着順
【参加費】
 無料(高校生以上の方は旧糟谷邸入館料300円が必要)
【申込】
 5月18日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ

古文書講座「江戸時代の暮らしに関する本を読んでみよう!」(①②ともに定員に達しました)
企画展の資料をテキストとし、講師と一緒に解読する初級古文書講座です。
【日時】
 令和6年8月17日(土) ①午前10時~11時30分 ②午後1時30分~3時 ※①②とも同じ内容です。
【講師】
 西尾市岩瀬文庫学芸員
【会場】
 岩瀬文庫地階研修ホール
【定員】
 各回30名(要予約) ※①②ともに定員に達しました。
【資料代】
 100円
【申込】
 令和6年7月27日(土)午前9時から電話または直接岩瀬文庫へ


本企画展図録のご紹介

A4 20ページ 90g 500円
図録のご購入方法は刊行物・グッズ/図録のページをご覧ください