2026年3月07日(土)〜2026年5月31日(日)

石づくし

ー古書が語る石の世界-

 石は人類の歴史の中で古より大きな役割を担ってきました。日本では道具としての利用にはじまり、信仰、医薬品、建築、芸術など、今日に至るまで様々な場面で人の生活と深くかかわっています。江戸時代には本草学・博物学が発展し、鉱物について記された本草書や図譜のほか、鉱山開発に関する書物や石を愛好した弄石家(ろうせきか)たちによる著述など多くの資料が残されました。
 本展では、岩瀬文庫の多彩な蔵書を通し、人々を魅了した石の世界をご紹介します。

会期
2026年3月07日(土)〜2026年5月31日(日)
料金
入館無料
開催場所
西尾市岩瀬文庫 2階企画展示室
開館時間
午前9時~午後5時

第1章 本草学の発展と石研究

 古代中国から発した本草学は、自然物を対象にその形態や薬効を研究する学問です。日本でも中国から輸入された本草書を教材に研究が進められ、薬種の同定やフィールドワークによる調査を経て、博物学的な要素を持つ日本独自の本草学へと発展していきました。
 本草学が対象とする自然物には、岩石・鉱物も含まれています。洋学の影響や国産物への関心の高まりを受け、石薬としての研究から、やがて石そのものがもつ様々な性質について探究されるようになりました。


中国最古の本草書 | 『神農本草経』(29-18)


日本人初の本格的な博物誌 | 『大和本草』(2-67)



史上最大級の彩色博物誌 | 『本草図説』(45-11)


色彩豊かな標本類図譜 | 『石譜』(辰-61)



03 神農本草経


05 大和本草


07 本草図説


08 石譜


第2章 石を愛する人々

 薬となる自然物を研究する本草学が、その実態や特徴を実証的に調査する物産学へと展開する中で、石に注目した人々がいました。幼少より石を収集し、生涯並々ならぬ愛情を注ぎ続けた近江(滋賀県)の木内石亭をはじめとした石の愛好家(弄石家)たちは、奇石と呼ばれる色や形の珍しい石をコレクションし、独自のネットワークのなかで石に対する博物学的知見を広げました。その対象は化石や石器などの考古遺物も含まれ、日本における自然科学や考古学研究の原点となりました。



石の長者木内石亭のベストセラー | 『雲根志』(29-55)


諸国の奇石産地を紹介 | 『蒹葭堂日本石譜』(26-92)



栗に松茸?おいしそうな奇石の図譜 | 『諸家奇石図』(辰-19)


石器収集家二木長嘯の石器類図譜 | 『石器図』(丑-17)



12 雲根志


13 蒹葭堂日本石譜


15 石器図


第3章 産業発展と石の利用

 戦国時代から江戸時代にかけては、各地で鉱山開発が進められました。江戸時代には産出量の多い鉱山は幕府直轄となり、採鉱・精練法の改良に力が入れられ、日本は世界有数の金銀産出国となりました。
 また、金銀などの鉱石だけでなく、灯籠や石臼などの石造品や建造物の素材などに利用する目的で、山々から石材が切り出されました。加工や用途の幅が広く品質に優れた石は「名石」と評価されて各地に流通し、江戸時代の石材産業を発展させました。諸国で採取された石は姿を変え、様々な用途で人の暮らしを豊かにしました。


江戸時代の鉱業技術を解説 | 『日本山海名物図会』(16-29)


住友が刊行した銅採掘・精錬の技術書 | 『鼓銅図録』(22-124)



石材の名産地を図入りで紹介 | 『日本山海名産図会』(180-190)


二上山麓の金剛砂 | 『河内名所図会』(3-43) 『五畿内名所図会より』



18 日本山海名物図絵


19 鼓銅図録


23 日本山海名産図会


24 河内名所図絵


第4章 雲母の里 西尾

 雲母は別名きららとも言い、光沢が強く、薄く剝がれやすい板状の構造を持つ鉱物です。
 愛知県北東部の山間部から幸田町・西尾市にかけての山地・丘陵を構成する領家変成岩には雲母を産出する巨晶花崗岩の岩脈が通っており、三河では古くから雲母採掘が盛んに行われていました。三河で産出する雲母は奈良時代以前からこの地域の特産物として知られ、雲母を多産した八ツ面山は雲母山(きららやま)と呼ばれました。また、西尾市の広範囲を占めていた荘園「吉良荘」の命名の由来になったとも言われています。


三河雲母最古の記録 | 『続日本紀』(65-46)


三河の雲母は良質多産 | 『倭漢三才図会』(33-26)



八ツ面山雲母採掘場のすがた | 『拾石餘言』(157-84)


八ツ面山産雲母(西尾市教育委員会蔵)




26 続日本紀


27 倭漢三才図会


30 拾石餘言




関連行事

展示解説
【日時】
 ①令和8年3月21日(土)午後1時30分~
 ②令和8年5月23日(土)午後1時30分~
 ※➀②とも同じ内容です
【会場】
 岩瀬文庫2階企画展示室 ※予約・料金は不要

古文書講座「江戸時代の石に関する本を読んでみよう!」
【日時】
 令和8年3月28日(土) ①午前10時~11時30分  ②午後1時30分~3時 ※➀②とも同じ内容です
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
【定員】
 各回30名 ※要予約
【資料代】
 100円
【申込】
 3月14日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ

講演会「名古屋城石垣石材を探る」
【日時】
 令和8年4月18日(土) 午後1時30分~3時30分
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
【内容】
 ①「名古屋城石垣石材のふるさと西尾」 浅岡優(西尾市教育委員会文化財課)
 ②「前島・沖島石丁場跡の調査報告―最新技術に基づく調査手法と成果―」 大村陸 氏(名古屋城調査研究センター)   
【定員】
 70名 ※予約・料金は不要

佐久島地層観察会
【日時】
 令和8年5月17日(日) 午前10時~午後0時30分
【内容】
 佐久島を歩いて島の地層や化石を観察します。
【集合場所】
 佐久島東港
【対象】
 小学生以上(小学生は保護者同伴)
【定員】
 20名※要予約
【服装・持ち物】
 運動靴、長袖長ズボン、帽子、手袋
【申込】
 4月25日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ
※荒天中止。中止の場合は前日の午後6時までに岩瀬文庫HPで告知します。
※岩場を歩くため、歩きやすい靴・服装でお越しください。


本企画展図録のご紹介

A4 20ページ 90g 500円
図録のご購入方法は刊行物・グッズ/図録のページをご覧ください