2026年6月06日(土)〜2026年8月30日(日)

競う!動く!遊ぶ!

~岩瀬文庫資料にみる江戸時代のスポーツ~

 明治以降に西洋から近代スポーツが伝わる以前から、日本人も古来よりスポーツを楽しんできました。江戸時代には、武士に必須の素養として剣術や弓術、馬術などの修練が推奨され、三十三間堂の通し矢など記録や勝敗を競う競技も生まれました。また、強豪力士の活躍などにより相撲興行が大人気となり、庶民の間でも娯楽として競技を観たり、実際にプレイしたりと多くの人たちがスポーツに親しんでいました。
 愛知県でアジア競技大会及びアジアパラ競技大会が開催される今年、岩瀬文庫の蔵書を通して江戸の人々が楽しんでいたスポーツの世界を覗いてみましょう。

会期
2026年6月06日(土)〜2026年8月30日(日)
料金
入館無料
開催場所
西尾市岩瀬文庫 2階企画展示室
関連イベント
関連行事はこちら。

1 競うスポーツ

 明治時代以降に西洋から近代スポーツが伝わる明治時代以前より、日本の人々もスポーツを楽しんできました。その起源は神事や戦など様々ですが、江戸時代には現在の競技と同じように勝敗を競い、観て楽しむスポーツの数々が登場します。本章では江戸の人々に人気の「競う」スポーツをご紹介します。




◆相撲
 古くから神事や格闘技として行われてきました。江戸時代には、寺社修理の資金集めを目的として始まった勧進相撲(かんじんずもう)といった興行が盛んとなりました。江戸時代中期には、土俵が考案され、番付が誕生し、相撲興行の制度が整えられました。その後、興行が定着し、11代将軍家斉の上覧相撲(寛政3〔1791〕年)を契機として江戸相撲が全席を迎えます。また、強豪力士の登場や横綱の誕生によりさらに人気を高めていきました。


『〈角觝詳説〉活金剛伝』(20-81)

『役者似顔』(49-63)




◆通し矢
 京都の三十三間堂の軒下で行われ、決まった距離で矢を射て、的に当たった数を競う競技です。通し矢のなかでも最も難しいといわれる「大矢数(おおやかず)」は、堂の端から端までの約120m先の的に向かい、一昼夜(24時間)かけて矢を射続けるものです。最高記録保持者は「天下一」と呼ばれ称賛されました。大矢数以外にも距離を半分にした「半堂(はんどう)」や日中のみに行う「日矢数(ひやかず)」などがありました。


『〈諸国図会〉年中行事大成』(160-30)

『〈日本〉弓道大系図』(123-118)


星野勘左衛門茂則(ほしのかんざえもんしげのり)
 宮迫村(西尾市吉良町)の出身と伝えられ、尾張藩士となり藩の弓頭を務めた人物です。尾張藩士となった経緯は定かではありませんが、弓の技術が尾張公の目にとまり家臣に召し上げられたと伝えられています。勘左衛門は寛文2(1662)年にもよおされた通し矢で10,125本のうち6,666本的中の記録を達成しましたが、紀州藩士・葛西園右衛門によって記録が更新されてしまいます。同9年に再び挑戦し、10,542本のうち8,000本的中の記録を成し遂げ、再び「天下一」となりました。


「星野勘左衛門旧里」の碑(円融寺/西尾市吉良町)




8 角觝詳説活金剛伝


4 諸国図会年中行事大成


6 星野勘左衛門茂則


2 技を極める、心身を鍛える

 かつては戦で勝利するために身に付ける技であった武術は、江戸時代に入って泰平の世が訪れると、技を磨き心身を鍛えることを重視したものに変わっていきました。武士の素養として修練が推奨され、各地に道場がつくられると武士のみならず庶民にも武芸が広がっていきました。江戸の人々が奥義を極め、心身鍛錬のために修めたスポーツをご紹介します。


◆剣術
 室町時代後期から実戦的な刀剣の使い方を習得する剣術の流派が多く誕生しました。各流派の技は師匠から弟子へと伝えられ、奥義をまとめて秘伝書の執筆も行われました。江戸時代に入っても刀剣は武士の象徴として大切にされ、剣術は実戦的な技を学ぶのではなく、型を学ぶ「型稽古(かたけいこ)」を中心に、心身を鍛えることを目的として発展していきました。


『北斎漫画』(73-49)

◆水術
 水術は、武術のひとつとして成立した日本固有の泳ぎです。江戸時代には各地の河川や海辺で武士を中心に水術の修練が行われました。水術にも多くの流派が誕生し、甲冑泳ぎや立ち泳ぎなど様々な泳ぎ方が教え伝えられました。現在私たちがよく知る西洋から伝わった泳法と異なり、「日本泳法」や「古式泳法」とも呼ばれます。


『踏水訣』(89-89)

◆馬術と弓術
 日本の合戦において、鉄砲から登場するまで弓矢は主力となる武器でした。そのため、弓術と馬術は実戦的な武芸として特に重視されており、鎌倉時代から流鏑馬(やぶさめ)・笠懸(かさがけ)・犬追物(いぬおうもの)は騎射三物(きしゃみつもの)と呼ばれ、実践訓練として盛んに行われました。弓と馬は江戸時代に入ってもなお武士必須の素養として学ばれました。しかし、一部の馬術や弓術は戦国期の混乱により途絶えており、それを復興させたのが8代将軍・徳川吉宗です。武芸を奨励し、途絶えていた弓術・馬術などの研究・復興を行いました。これによって流鏑馬なども再興され、武士のたしなみとして行われるようになりました。


『弓術集成』(81-61)



15 踏水訣


3 遊んで動いて

 体を動かすことは、競ったり武術の修業をしたりするだけではありません。遊ぶもまた多くの人たちの身近にあるスポーツです。公家の娯楽であった蹴鞠をはじめ、江戸時代の子どもや大人が楽しんだ遊びの数々をご紹介します。




◆蹴鞠
 公家の優雅な遊びである蹴鞠は、「鞠足(まりあし)」と呼ばれる参加者8人(または6人)で行い、鞠靴で鞠を高く蹴り上げて地面に落とさないようにするものです。勝ち負けを競うものではなく、蹴り方や姿勢、優雅さなどが重要とされました。蹴鞠を行う場は「懸(かかり)」や「鞠場」と呼ばれ、四隅には桜・松・柳・楓をそれぞれ植えるなどの決まりがありました。江戸時代には茶の湯などと並ぶ文化的な娯楽として武家や裕福な町人にまで親しまれるようになり、町人たちが行う蹴鞠は公家が行う「堂上(どうじょう)」に対して「地下蹴鞠(じげけまり)」と呼ばれました。


『女芸文三才図会』(109-15)

『鳥獣戯画』(午-11)(鳥獣戯画の写し)


◆綱引き
 複数人が2組に分かれて1本の綱を互いに引っ張る綱引は、江戸時代では吉凶を占い、豊穣を祈る年中行事のひとつとして行われたほか、子どもの遊びとしても親しまれていました。


『幼稚遊昔雛形』(102-78)

◆登山
 日本では、古くから山岳信仰が根付き、山に登る人が多くいました。しかし、江戸時代中期ごろからは、信仰から離れて山登りを楽しむ人々が現れました。池大雅(画家)や韓天寿(書家)、中谷顧山(古銭研究科)ら学者や画家を中心に、富士山をはじめとする名山を訪れ、登山に親しむ人が増加しました。近代以降のスポーツとしてのはしりが江戸時代にすでに、芽生えていただことがわかります。


『富士筆記』(86-56)



23 鳥獣戯画


28 富士筆記


4 江戸の運動と養生~江戸の運動ワンポイント~

 “養生”とは、食や成果うなどで健康に気を付け、薬の対症療法や医師の治療に頼らずともよい、病をよせつけない健康な体を維持して長寿を得る、という考え方です。江戸時代には養生法を紹介した養生書が数多く出版されました。そのなかには運動についての記述もあります。また、運動に関する豆知識が当時の生活百科事典などに紹介されました。本章では江戸時代の養生書にみえる運動とともに豆知識を紹介します。ぜひお試しください。




『田子養生訣』(158-12)

『〈民家日用〉広益秘事大全』(67-59)




30 田子養生訣


31 民家日用広益秘事大全




第20回アジア競技大会

日にち:令和8年9月19日(土)~10月4日(日)
4年に1度行われるアジア競技大会が愛知県にやってきます。
西尾市ではダイセンアリーナ西尾にてボクシングを開催!
大会の詳細やチケット情報はHPをご覧ください。
HPはこちらから

第5回アジアパラ競技大会

日にち:令和8年10月18日(土)~10月24日(土)
4年に1度の大会が愛知県にて開催!
詳細はHPをご覧ください。
HPはこちらから

関連行事

展示解説
【日時】
 ①令和8年6月20日(土)午後1時30分~
 ②令和8年8月8日(土)午後1時30分~
 ※➀②とも同じ内容です
【会場】
 岩瀬文庫2階企画展示室 ※予約・料金は不要
※両日とも展示解説終了後に岩瀬文庫内でボクシングのミット打ち体験を開催します!
 アジア競技大会で西尾市にて行われるボクシングを体験してみましょう!


古文書講座「江戸のスポーツに関する本を読んでみよう!」
【日時】
 令和8年7月25日(土) ①午前10時~11時30分  ②午後1時30分~3時 ※➀②とも同じ内容です
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
【定員】
 各回30名 ※要予約
【資料代】
 100円
【申込】
 7月11日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ
 ※事前に資料をお渡しします。郵送の場合は別途送料がかかります。

体験講座「和装本をつくってみよう!」
【日時】
 令和8年8月29日(土) 午後2時~4時
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
【対象】
 小学生以上 ※小学生は保護者同伴
【定員】
 20名 ※要予約
【材料費】
 200円
【申込】
 8月15日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ


本企画展図録のご紹介

A4 20ページ 90g 500円
図録のご購入方法は刊行物・グッズ/図録のページをご覧ください