2026年9月05日(土)〜2026年11月29日(日)

岩瀬文庫の洋学2 物産学への招待〜集まれ!江戸・明治のくらしに役立つ産物(もの)〜

「物産学」とは、各地の動植物や鉱物、農作物といった産物を研究し、日々のくらしや産業に役立てることを目的とした学問です。江戸時代から明治時代にかけて、国内産業の振興に力を入れた結果、日本各地の特産物の調査や、動植物の栽培・養殖などが盛んになりました。人びとの関心も高まり、各地の産物をまとめた「産物帳」の作成や、「物産会」や「博覧会」などの展示会が開催されるなど、物産学は発展していきました。
本展は洋学史学会の全面協力のもと、岩瀬文庫の蔵書を通して物産学のあゆみをたどり、当時の人々の産物(もの)へのまなざしに迫ります。

会期
2026年9月05日(土)〜2026年11月29日(日)
料金
入館無料
関連イベント
関連行事はこちら。

第1章 物産学の系譜

 本草学(ほんぞうがく)は、古代中国の薬草学を始まりとし、文字通り薬草を中心に、多様な自然物を薬の観点から調べて記録する学問でした。古来、日本でも中国本草書を土台としてその研究が進められましたが、江戸時代以降、モノ自体に焦点を当て国内で探索・調査する姿勢が強まりました。江戸時代後期には、各地の産物を解明するという意味で、自然物の研究に対し、従来の「本草学」と並んで「物産学」の呼称が用いられるようになります。開国後、幕府の洋学機関である蕃書調所(ばんしょしらべしょ)に新設された「物産方(ぶっさんかた)」では、国産物とあわせて、相次いで輸入される海外の産物の調査も進められました。




物産を、集めて並べて、品定めする 『物類品隲』(8-98)


物産学を教え、研究する機関「物産方」の新設 『伊藤金窠先生遺書』(154-67)




5 物類品隲


6 伊東錦窠先生遺書




第2章 山本読書室と京都物産学

山本読書室は江戸後期に重きを成した京都の本草・漢学塾であり、その旧蔵書の一群が岩瀬文庫に所蔵されています。儒学塾として始まり、塾主二代・亡羊(ぼうよう)(1778~1859)が新たに本草学(物産学)を家学に取り入れました。亡羊は五子一孫と一丸となり、各地の物産情報を書籍・図画・器物という多様なかたちで収集し、豊かな博物コレクションを形成しました。またそのコレクションを媒介として、各地の知友・門弟と、情報交換・展示の場である「読書室物産会」を精力的に開催しました。この営みを通じてまさしく読書室は、幕末から明治初期にかけて西日本における本草・物産学の一大拠点となったのです。




どんな状態でも、珍しければ記録すべし 『魚類写生図』(辰-22)


「逼真(ひょくしん)」を謳う草木図譜 『花彙』(63-35)


押し葉標本による鑑定 『陶陰雑抄』(15-85)




9 魚類写生図


10 花彙


11 陶陰雑抄




第3章 地域のひろがり

 19世紀になると、物産学の波は、京都・大坂・尾張・江戸の物産学者を中心に、地域的なひろがりを見せていきます。尾張から京都、京都から伊勢・江戸・大坂における人的交流も活発化し、さらにはシーボルトら外国人がもたらす西洋の情報も学者間で共有されました。
 また、琉球・蝦夷・小笠原といった本土から離れた遠隔地の物産に対しても関心が高まり、図譜や記録が制作されました。




受け継がれる虫の図譜~尾張から京都へ~ 『水谷虫譜』(46-4)


貝の愛好家、集う 『奇貝図譜』(47-36)




13 水谷虫譜


16 奇貝図譜


第4章 さまざまな植物図譜

 19世紀になると植物図は、『本草図譜』、『草木図説』『本草図説』に代表されるように、本草・物産学を専門とする学者によって植物の真の姿を写す目的で描かれ、その技術は飛躍的に発展しました。またこの頃になると、園芸植物を愛好する風潮が高まり、優れた図を描く植物画に特化した専門絵師が誕生しました。
 学者たちは複数の洋書を参照し、まだ見ぬ植物や新規に渡来した植物に対するあこがれや好奇心から、多種多様な植物図を描くようになったのです。




日本初の本格的植物図譜 『本草図譜』(46-45)


江戸時代最大級の博物図譜~中国からのバラを愛でる~ 『本草図説』(45-11)


海外から渡来した新しい植物~ヒヤシンス~ 『異蘤存真図』(45-29)




18 本草図譜


20 本草図説


21 異蘤存真図


第5章 明治初期の物産博物学と博覧会行政

 維新後、明治政府は殖産興業政策の一環として、様々な文物を一堂に集めた博覧会を何度も開催しました。明治初期の博覧会では、国内の古物や宝物、自然物だけでなく、外国から来た珍しい動植物なども多数出品されました。これまで知られていなかった品々が人々の目に触れるとき、それが何(なに)で、どのようなものであるかを説く必要があります。幕末から明治を生きた物産学の担い手たちは、博覧会を通じて一挙に集まる国内の物産や産業、海外の珍しい動植物の情報を整理集約し、一枚絵や見本帳などわかりやすい形にして出版することで、物産知識の普及を図っていきました。




書物と甲羅を頼りに描いた外国のカメ 『博物図説』(寅-232)


1,000種以上の役に立つ植物を集大成 『有用植物図説』(13-71)



24 博物図説


26 有用植物図説


関連行事

展示解説
【日時】
 ①令和8年10月10日(土)午後1時30分~
 ②令和8年11月7日(土)午前11時~
【解説】
 ①岩瀬文庫学芸員
 ②洋学史学会会員
  平野恵氏(洋学史学会会長/台東区立中央図書館 郷土・資料調査室専門員)
  太田由佳氏(龍谷大学 非常勤講師)
  御巫由紀氏(千葉県立中央博物館 教育普及課上席研究員)
  阿部大地氏(佐賀県立図書館 郷土資料調査・編さん課主査)
【会場】
 岩瀬文庫 2階企画展示室 ※予約・料金は不要

体験講座「和綴じのぬり絵本をつくってみよう!」
 日本の伝統的な本のつくり方を学びながら、展示資料の中の植物図や動物図を使ったオリジナルのぬり絵本をつくります。
【日時】
 令和8年9月19日(土) 午後2時~4時
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
【対象】
 小学生以上(小学生は保護者同伴)
【定員】
 20名(申込先着順)
【材料費】
 200円
【申込】
 9月10日(木)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ

2026年度 洋学史学会(西尾大会)
洋学史学会の研究発表会が岩瀬文庫で開催されます。
一般の方の聴講も大歓迎!洋学史研究の最先端をのぞいてみませんか?
【日時】
 令和8年11月7日(土) 午後1時~4時45分
【会場】
 岩瀬文庫 地階研修ホール
 ※詳しくは洋学史学会ホームページをご覧ください。
  https://yogakushi.jpn.org/

産物(もの)知り博士からの挑戦状
企画展を見ながらワークシートのクイズに挑戦!
クリアした方に企画展限定オリジナル缶バッジをプレゼントします。
クイズと缶バッジは月ごとにかわります。
ぜひ毎月挑戦してみてください! 
【期間】
 令和8年9月5日(土) ~11月29日(日)
【会場】
 岩瀬文庫 2階企画展示室

「あいち県民の日」限定!
岩瀬文庫オリジナル付箋のプレゼント

「あいち県民の日」に企画展を観覧し、アンケートにお答えいただいた方先着50名に、オリジナル付箋をプレゼントします。
【日時】
 令和8年11月27日(金) 午前9時~午後5時
 ※付箋がなくなり次第終了します


本企画展図録のご紹介

A4 32ページ 137g 800円
図録のご購入方法は刊行物・グッズ/図録のページをご覧ください