江戸時代の西尾
江戸時代の西尾の古文書をひもとけば、実に多種多様な人々の活動がみられます。領主に仕える武士・学者、西尾城下の町人をはじめ、木綿・鋳物・雲母・塩などの生産、矢作川水運・三河湾海運の流通にたずさわる人々、寺社の宗教文化を担う人々などなど。本展では『新編西尾市史 資料編3 近世1』掲載史料を中心に、近世西尾の多面的な世界をご覧いただきます。
- 会期
- 2021年12月04日(土)〜2022年2月27日(日)
- 料金
- 入場無料
章立て
1章 西尾の領主と領地
2章 西尾城下
3章 産業と流通
4章 西尾の寺社
1章 西尾の領主と領地
中世に西尾市域のほとんどを占めた吉良荘(きらのしょう)は、吉良氏によって支配されていました。戦国時代、吉良氏は徐々に所領を失って遂に没落してしまいました。そうした歴史もあり、江戸時代、この地域では多数の領主が小さな領地を持つようになります。本章では、市域の領主とその領地を垣間見ていきます。
2章 西尾城下
江戸時代、西尾城下は市域で唯一の町であり人口と家屋が密集していました。この町は、戦国時代に築かれた西尾城に端を発します。後に城郭の周りには町家(まちや)が立ち並び、町人も住み始めました。武士は江戸時代となっても残り続け、武士と町人とが外堀で囲まれた狭い地域に住んでいました。本章では城下の生活がわかる資料を展示します。
←「西尾八景」は、西尾商人・辻利八による刊行。
名勝を叙情豊かに描く。場面は西尾城下須田門。
東方の山に「鍵万灯」(盆の行事)の火が見える。
西尾城下は堀(現在滅失)で外界と仕切られ
門番がいた。西尾の近世を特徴付ける風景。
3章 産業と流通
西尾市域は、海と河、そして山が囲みます。江戸時代の人々は、自然をうまく生かし利益を得てきました。百姓は、コメに加えて木綿もつくり山に雲母を採掘する。豪農は、沿岸部で新田・塩田を開き、木綿を買って江戸へ売り、殿様に金貸しも行う。佐久島の住人は大海に船を走らせ木綿を江戸まで運び、川沿いの村々の船頭は矢作川を上下し商品を運んでいく。――本章ではこういった様子の一端がわかる資料を展示しました。
←うららかな春の一日、眺めの良い八ツ面山に
登り野遊びを楽しむ人々を描く。同山は雲母が
採掘されると同時に行楽の場所でもあった。
遠くに帆船がみえる。江戸に物資を運ぶ船か。
4章 西尾の寺社
江戸時代の幡豆郡では、多くの領主がこの地を治め、また様々な生業(なりわい)が人々を豊かにしました。豊かな富、そして人々の多様な生業と価値観を反映してか、宗教文化は中世に比べて実に多様になります。本章では、これらの宗教文化をよく特徴づけ、また目をひき珍しいと思われる古文書を中心に展示しました。
←西尾藩の儒者・井川春良(しゅんりょう)
(1617~86)の漢詩文集。親族への愛情をはじめ、
西尾地域の寺社の景観、藩主土井氏への
忠心などを格調高い漢詩文で記す。
←朝廷が厳西寺僧了明を権律師(ごんのりっし)に任じた辞令。「口宣案」をうけて、弁官局(べんかんきょく)という朝廷の下級事務機関によって「弁官方宣旨」が出された。後者は前者をより正式な辞令とする効力があると考えられる。
関連イベント
■展示解説展示資料をプロジェクターで映しながら解説します。
日時/①12月25日(土)午後1時30分~(約40分間)
②1月8日(土)午後1時30分~(約40分間)
※内容は各回ともに同じ。無料。
定員/①②ともに15名
場所/岩瀬文庫 地階研修ホール
講師/当館学芸員
※要予約。
12月11日(土)午前9時より各回ともに予約受付開始
電話(0563-56-2459)または直接文庫2Fカウンターへ
■古文書講座 ※予約は満席になりました(1月9日記)。
「江戸時代の西尾の古文書を読んでみよう」
日時/1月22日(土)
①午前10時~11時30分
②午後1時30分~3時
※①②とも同じ内容です。
定員/①②ともに15名
場所/岩瀬文庫 地階研修ホール
講師/当館学芸員
※要予約。
1月8日(土)午前9時より予約受付開始
電話(0563-56-2459)または直接文庫2Fカウンターへ
資料代/100円