栗氏千虫譜
りっしせんちゅうふ46-383冊
幕府の医官であり高名な本草学者である栗本丹洲(くりもとたんしゅう)(昌臧/1759~1834)の代表的著作である『千虫譜』は、日本で最初(文化8(1811)年序)の虫類図譜です。鳥獣草木の図譜は多くあるのに虫類の図譜がないことを憂えた丹洲が、あらゆる虫を自ら捕らえるなどして観察し、作成したといわれます。精密な観察に基づく解説文と、優れた絵からなるこの図譜は、当時の学者たちによっていくつも写しが作られ、栗本氏による多数の虫の図譜ということで『栗氏千虫譜』などと呼ばれました。岩瀬文庫の本もそういったひとつで、文久2(1862)年に、久志本(くしもと)左京(幕府医官)の所蔵本を山本榕室(ようしつ)(医師・本草学者)が借りて、丁寧に書き写したものです。
さてこの本、昆虫はもとより、カエル・蛇・くらげ・ミミズ・うに・・・などなども収録されています。“虫譜”のはずなのに何故でしょう?答えは岩瀬文庫企画展「江戸時代のナチュラルヒストリー」にあります。ぜひご覧ください。