六百介品

ろっぴゃくかいひん46-495冊

 この図譜は天保7(1836)年、本草(博物)学の研究に熱心だた旗本・武蔵石寿(むさしせきじゅ)(1766~1860)の編さんによるもので、元の書名を『甲介群分品彙(こうかいぐんぶんひんい)』といいます。



 この本ができる以前、我が国には紀州藩が作成した有名な貝類図譜がありました。しかし、①絵だけで解説がない、②貝の分類がされていない、という二点が少々不便でした。そこで石寿は、紀州藩の本に載っている605種の貝を蛤(こう 丸い二枚貝)・蚌(ぼう 細長い二枚貝・牡蛎・無対アワビなど)・螺(ら 巻き貝)・貝子(ばいし 宝貝)・異形(ウニなど)および石花(せきか カメノテなど)に分類し、解説編を加え、使いやすい図鑑に編集したのです。

 石寿の本は人々に歓迎され、『群分品彙』『六百介品』などの名で転写本が多数つくられました。岩瀬文庫の本もそのひとつで『本草図説』作者・高木春山の旧蔵本です。きっと『本草図説』の水産編を書くときに大いに参考とされたことでしょう。