2024年2月17日(土)〜2024年5月12日(日)

古典籍の博物館 岩瀬文庫のあゆみ

西尾市岩瀬文庫リニューアル20周年記念企画展

 明治41(1908)年に西尾市内の実業家・岩瀬弥助が書物を通じた社会貢献を志して設立した岩瀬文庫は、平成15(2003)年に「古典籍の博物館」としてリニューアルオープンし、今年度20周年を迎えました。
 本展では、94回におよぶ企画展をはじめ、岩瀬文庫ボランティアの活動、にしお本まつり、岩瀬文庫資料悉皆調査など20年を語る上で欠かせない活動の数々を通して、リニューアル20周年を皆さんと一緒に振り返ります。

会期
2024年2月17日(土)〜2024年5月12日(日)
料金
入館無料
開催場所
西尾市岩瀬文庫 2階企画展示室
開館時間
午前9時~午後5時
関連イベント
展示解説はこちら。
記念講演会はこちら。
体験講座「和装本をつくってみよう!」はこちら。
古文書講座はこちら。

Ⅰ 岩瀬文庫リニューアル20年のあゆみ

岩瀬文庫は、明治41(1908)年に西尾市内の実業家・岩瀬弥助が書物を通しての社会貢献と書物の恒久保存を願って設立した私立岩瀬文庫が始まりです。その後、昭和30(1955)年に西尾市立図書館岩瀬文庫となり、平成6(1994)年には再整備のため教育委員会文化振興課へ移管、「西尾市岩瀬文庫」と改められました。再整備を終えた平成15(2003)年に古典籍の博物館としてリニューアルオープンし、今年度に20周年を迎えました。ここではリニューアル後20年間のあゆみを振り返ります。

平成15(2003)年4月2日 古典籍の博物館・西尾市岩瀬文庫 開館

当時は西尾市立図書館旧館の一角を閲覧室や事務室として使用していたが、平成10年に愛知県の「魅力ある愛知づくり事業」に採択され、岩瀬文庫の再整備事業が始まった。新たな本館と収蔵庫が完成し、平成15年4月2日に「古典籍の博物館」としてリニューアルオープンした。




平成15年に古典籍の博物館・西尾市岩瀬文庫としてリニューアルオープン

開館式典(テープカット)




平成17(2005)年4月 岩瀬文庫ボランティア活動開始

岩瀬文庫ボランティアは和本の綴じ糸の取り替えや蔵書を収める中性紙保存箱の作成、企画展のポスターやちらしの発送作業、講座のサポートなどさまざまな活動で岩瀬文庫を支える必要不可欠な存在。23名でスタートし、現在53名が登録している。平成25年にはその活動が高く評価され、図書館サポートフォーラム賞を受賞。同26年には活動開始から10年を迎え「岩瀬文庫ボランティア10年のあゆみ」展を開催した。
岩瀬文庫ボランティアの活動はこちらから




綴じ糸の取り替え


平成18(2006)年10月27日~29日 第1回にしお本まつり開催

岩瀬文庫と市立図書館を会場として、さまざまなボランティア団体が中心となって開催する本のおまつり。文字・活字文化の日(10月27日)制定を機に行い、以降は毎年10月採集土日に開催。古本市や絵本の読み聞かせ、旧書庫内部の特別公開などをはじめ、“本”をテーマにした数々の催しを行っている。令和5年度で第18回目を迎えた。
にしお本まつりはこちらから




にしお本まつり風景




平成19(2007)年12月 岩瀬文庫が愛知県下で34番目の登録博物館に




平成20(2008)年 岩瀬文庫創立100周年

明治41(1908)年の創立から、100周年を迎えた5月6日に、市文化会館で記念式典を開催。同日に古典籍を所蔵する全国の文庫の代表者が参加する「全国文庫サミット」、岩瀬文庫ボランティアによる「岩瀬文庫をもっと身近に」展、岩瀬弥助記念書物文化賞の授与式を行った。


記念式典

全国文庫サミット パネルディスカッション




岩瀬弥助記念書物文化賞
創立100周年を記念し、弥助の高い志を末永く継承するため、書物文化についてのユニークな研究や功績のあった方を5年ごとに奨励・顕彰する「岩瀬弥助記念書物文化賞」を創設した。令和5年度に第4回目を開催。
これまでの受賞者はこちらから


第1回岩瀬弥助記念書物文化賞授与式




平成22(2010)年 岩瀬文庫古典籍書誌データベース公開

平成12(2000)年、塩村耕名古屋大学名誉教授を代表として始まった岩瀬文庫悉皆調査(全蔵書の書誌調査)の成果をデータベースとして公開。書名や作者、成立念はじめ、書かれている内容からもキーワード検索ができる。また平成30年には絵図・地図類データベースを公開し、850点以上の絵図・地図類の高精細画像を見ることができる。
古典籍書誌データベースはこちらから




岩瀬文庫悉皆調査の様子

それまで蔵書検索に使用していた昭和11(1936)年作成の冊子目録『岩瀬文庫図書目録』より、使いやすく現代の学問を繁栄した新しい蔵書目録を作成することを目的としてスタート。




令和5(2023)年3月 マンガ「岩瀬弥助物語―岩瀬文庫を作った男」を製作

岩瀬弥助と岩瀬文庫についてわかりやすく知ってもらうため、岩瀬文庫の創設者・岩瀬弥助の生涯をマンガ化。岩瀬文庫ホームページで公開、市内の図書館などへの配布を行うとともに、市内小中学生の学習用タブレットで郷土学習の教材として活用できるようにした。
マンガ紹介ページはこちらから







Ⅱ 岩瀬文庫と展示

岩瀬文庫では、8万冊を超える蔵書の魅力を伝えるためオープン当初から絶え間なく企画展を開催しています。平成15年4月のオープン記念特別展「岩瀬文庫のコレクション」に始まり、本展まで95回の企画展を開催しました。そのなかから厳選した展示と出品資料をご紹介します。

むかしのあそび~ようこそ江戸時代あそびワールドへ~
江戸時代の庶民が楽しんだ遊びの指南書や記録を紹介。展示室にはすごろくや投扇興(とうせんきょう)、知恵の板など遊びの体験コーナーを設置した。


『幼稚遊昔雛形』(102-78)1冊






こんな本があった!~岩瀬文庫平成悉皆調査中間報告展Ⅰ~
平成12年からはじまった蔵書の悉皆調査で発見された新たな情報や魅力などを紹介した展示。16回目(平成31年)まで開催し、毎年恒例の展示となった。特別講座として資料調査会代表の名古屋大学名誉教授・塩村耕氏の講演会が行われた。





日本人のナチュラルヒストリー
かつて日本で隆盛した本草学(中国の薬草学に始まり、日本で博物学として花開いた学問)に関する書物をとおして、当時の人々が豊かに自然とふれあい、楽しみ、共生していたことを紹介する。愛知県で開催された「愛・地球博」のサテライト展示であり、万博瀬戸会場に建てられた県のパビリオン「瀬戸愛知県館」には岩瀬文庫所蔵の『本草図説』の画像を使用した展示が行われた。


『枕草紙』(103-164)

『本草図説』(45-11)




〈創立100周年記念特別展〉岩瀬文庫の100点
岩瀬文庫創立から100周年を記念して開催した展示。「研究者が選ぶ33点」「学芸員・司書が選ぶ33点」「市民が選ぶ34点」の3部にわけて文庫を代表する蔵書100点を紹介した。


『無垢浄光経自心印陀羅尼』(申-17)




〈江戸が学んだ西洋〉岩瀬文庫の洋学
文庫資料をとおして江戸時代の洋学〈西洋の学術文化を対象とした学問〉の歩みを概観した展示で、洋学史学会の全面協力のもと開催した。学会を岩瀬文庫で実施し、研究者による展示解説が行われた。







〈御即位慶賀〉帝~平成から令和へ~
令和の御即位を祝して即位や改元の資料をはじめ、物語に描かれた天皇や近習の日記などさまざまな記録から浮かび上がる“帝”の姿を紹介する。


[国重文]『後奈良天皇宸翰般若心経』(辰-78)




悪疫退散
コロナ禍に開催した展示。日本は古来よりたびたび疫病の蔓延に苦しめられ、そのたびに災厄を乗り越えてきた。蔵書をとおして疫病と戦い打ち克ってきた様子を紹介する。


「姫魚図」(『以文会随筆』〔26-163〕より)




関連行事

展示解説
【日時】
 ①3月9日(土)午後1時30分~
 ②4月27日(土)午後1時30分~ ※どちらも同じ内容です。
【会場】
 2階企画展示室 ※予約・料金は不要

記念講演会「岩瀬文庫とわたし」
20年以上にわたり岩瀬文庫の資料調査に携わる講師から、蔵書の魅力を学びます。
【日時】
 令和6年3月24日(日)午後1時30分~3時
【講師】
 塩村 耕 氏(名古屋大学名誉教授/岩瀬文庫資料調査会会長)
【会場】
 岩瀬文庫地階 研修ホール
【定員】
 70名(予約・料金は不要)

体験講座「和装本をつくってみよう!」
【日時】
 4月13日(土)午後1時30分〜3時30分
【会場】
 岩瀬文庫地階研修ホール
【定員】
 20名(要予約)
【材料費】
 200円
【対象】
 小学生以上 ※針を使用しますので小学生は保護者同伴でお申し込みください
【申込】
 3月16日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ

古文書講座「岩瀬文庫の蔵書を読んでみよう!」
【日時】
 5月12日(日) ①午前10時~11時30分 ②午後1時30分~3時 ※①②とも同じ内容です。
【講師】
 西尾市岩瀬文庫学芸員
【会場】
 岩瀬文庫地階 研修ホール
【定員】
 各回30名(要予約)
【資料代】
 100円
【申込】
 4月20日(土)午前9時から電話(0563-56-2459)または直接岩瀬文庫へ


本企画展図録のご紹介

A4 20ページ 90g 500円
図録のご購入方法は刊行物・グッズ/図録のページをご覧ください