2016年7月16日(土)〜2016年9月04日(日)

新発見。新知見。

~新編西尾市史中間報告展Ⅰ~

 平成23年4月、西尾市・一色町・吉良町・幡豆町が合併し、新しい西尾市が誕生しました。この新西尾市の歴史や文化、風土を明らかにし、次世代へと伝えるため、『新編西尾市史』の編さん・出版という一大プロジェクトが現在進行中です。考古、古代・中世、近世、近・現代、自然、美術工芸・建造物、民俗、学芸・文化の9つの部会に所属する約90人の専門委員が、最新の歴史研究の成果を取り入れ、また地元の資料の発掘や再検証を行いながら、過去から現在までの西尾と、そこに住む人々の姿をさまざまな角度から研究しています。
 本展では、このうち20の“新発見”や“新知見”を委員の解説とともにご紹介します。新しい資料の発見や従来とは異なる視点による考察によって、これまでの定説が大きく覆ったり、謎が解き明かされたり、歴史の新たな一面が見つかったり…本展を通して、そんな歴史探求の面白さを感じていただけましたら幸いです。

会期
2016年7月16日(土)〜2016年9月04日(日)
料金
入場無料
展示解説
7月30日(土)・9月3日(土)
特別講座
7月24日(日)
市史編さんの現場から
①「謎の美女は吉良家の奥方?~華蔵寺蔵「禅定尼像」について」本田光子氏(愛知県立芸術大学講師/美術工芸・建造物部会特別執筆員)
②「村の文明開化~小野ヶ谷村『牧野日記』を読む~」 岡田洋司氏(元富山国際大学教授/近・現代部会編集委員)

本展開催に寄せて


 『新編西尾市史』の発刊作業が進められています。この市史は新しい西尾市域に残されたさまざまな資料に基づいて、地元の視点を重視して記述されるものです。本展示には、そのための調査によって見出された、貴重な資料の一部が紹介されています。いずれも、これから刊行される市史に取り上げられる可能性の高い資料であり、西尾市の祖先の人々の、生活や文化の状況を物語るもの、西尾市域に関連したさまざまな活動の断片を雄弁に示してくれるものばかりです。
 市史の担当者による解説をご覧になりながら、それぞれが語る歴史の一端に触れていただければ幸いです。

金田章裕(新編西尾市史編さん委員長/京都大学名誉教授)

20の新発見と新知見

01 中央政権との密接なつながりを示す形象埴輪
石見型埴輪<中之郷古墳出土> 
加藤安信(考古部会編集委員/元大同高等学校校長)
02 崑崙人漂着“伝説”は“史実”である。
宝壺<天竹神社蔵>・『参河国幡豆郡天竹村旧記』<西尾市岩瀬文庫蔵>ほか
田島 公(古代部会編集委員/東京大学史料編纂所教授)
03 寺部城の防御の要は急勾配の切岸にあり。
寺部城測量図
奥田敏春(中世部会執筆員/岡崎市文化財保護審議会委員)
04 定説覆る!「西尾」の始まりが遡る。
今川義元書状(写真展示)<公益財団法人江川文庫蔵>・鰐口<御剱八幡宮蔵>
山田邦明(中世部会編集委員/愛知大学教授)
05 牧野氏の西条城入城の年も遡る。
今川義元朱印状写(写真展示)<東京大学史料編纂所蔵影写本「牧野文書」>
山田邦明(中世部会編集委員/愛知大学教授)
06 村の実態を記していない村明細帳~正確な記載を領主に求めることに成功した村役人たち
郷村差出シ候明細帳<下横須賀村文書>・高反別村鑑明細書上帳<同>
神谷智(近世部会編集委員/愛知大学教授)
07 鎧池は吉良様の屋敷の堀である?!~瀬戸村との争論でみせた岡山村の主張
鎧池争論裁許絵図<木田村文書>
内藤路子(近世部会調査員/愛知大学総合郷土研究所研究員)
08 170万字におよぶ幡豆の一農民の生活記録
牧野日記<個人蔵>
岡田洋司(近現代部会編集委員/元富山国際大学教授)
09 一枚の屏風に群れ集う明治の著名人
志賀重昴宛書翰貼寄屏風<個人蔵>
岡田洋司(近現代部会編集委員/元富山国際大学教授)
10 重要文化財にもまだまだ謎が~その1、天皇の手紙、差出人は親か子か?
後柏原天皇宸翰御消息 はく少将宛<花岳寺蔵>
末柄 豊(東京大学史料編纂所准教授)
11 重要文化財にもまだまだ謎が~その2、天皇が写したお経、納めた先は?
後奈良天皇宸翰般若心経<西尾市岩瀬文庫蔵>
末柄 豊(東京大学史料編纂所准教授)
12 江原村の郷士・辻村吉利の風雅
江原八景<江原神明社蔵>
神谷 浩(美術工芸・建造物部会編集委員/名古屋市博物館副館長)
13 死を笑う。近代人の遊び心。
九相戯画巻<海蔵寺蔵>
鷹巣 純(美術工芸・建造物部会編集委員/愛知教育大学教授)
14 謎の美女は吉良家の奥方?
禅定尼像<華蔵寺蔵>
本田光子(美術工芸・建造物部会特別執筆員/愛知県立芸術大学講師)
15 蒔絵、螺鈿、象嵌…華麗なる馬具の競演
瀬門神社神事馬駈馬具<瀬門神社蔵>
小川幹生(美術工芸・建造物部会編集委員/元名古屋市博物館学芸員)
16 すべてはクライマックスのために~鳥羽の火祭り
鳥羽の火祭り写真展示
野本欽也(民俗部会編集委員/岡崎むかし館主任専門員)
伴野義広(同調査員/幡豆歴史民俗資料館)
17 ブチを操るダイナミックな打込み太鼓~寺部祇園祭り
寺部祇園祭り写真展示・ブチ(桴)ほか
野本欽也(民俗部会編集委員/岡崎むかし館主任専門員)
伴野義広(同調査員/幡豆歴史民俗資料館)
18 岩瀬文庫のルーツとなった文庫の開設趣意書
八幡書庫記<西尾市岩瀬文庫蔵>
塩村 耕(学芸・文化部会編集委員/名古屋大学教授)
19 村の小事件を芝居の台本仕立てにした珍記録
村方取扱覚帳<西尾市岩瀬文庫蔵>
塩村 耕(学芸・文化部会編集委員/名古屋大学教授)
20 資料調査の現場から~襖の下貼り文書
松井直樹(近世部会執筆員/西尾市文化財保護委委員)
加藤敏明(塩田体験館館長)

石見型埴輪

宝壺

禅定尼像(写真は部分)

後柏原天皇宸翰御消息 はく少将宛

鎧池総論裁許絵図

高反別村鑑明細書上帳

瀬門神社神事馬駈馬具

九相戯画巻

八幡書庫記


志賀重昴宛書翰貼寄屏風


鳥羽の火祭り


本企画展図録のご紹介

A4 24ページ 110g 500円
完売いたしました。