西尾市岩瀬文庫では、創設者弥助の思いを引継ぎ、大切な蔵書を守り未来へ伝えること、広く一般に公開し活用することを柱に活動しています。

未来へ伝えるために…

収蔵庫



 新収蔵庫は、大切な岩瀬文庫の蔵書を確実に未来へ伝えるための設備をそなえています。収蔵庫内は、一年を通して適切な温湿度が保たれ、書架にはカビ菌やほこり、臭いを取る電子フィルターや、調湿機能、免震機能が備わっています。
 平成15年度には、個人のご篤志により中性紙製の保存箱1万個が購入でき、ボランティアによって順次、箱詰めされ、さらに安全な環境で蔵書を守っています。
 また3階は、西尾市内の文化財や歴史資料を保管することのできる文化財収蔵庫です。これまで所蔵者の方々の努力によって守られてきた、これら西尾市民の大切な財産を、ご要望によって寄託・寄贈を受け、適切な環境の中で、安全に保存することが出来るようになりました。(収蔵庫内は非公開です)


修復



 西尾市岩瀬文庫の古い蔵書の中には、長い年月の間に虫喰いや破れ、綴じ糸切れ、題簽のハガレといった損傷を受けたり、湿気や乾燥によって紙が脆くなったり、もとの所有者が熱心に何度も読んだとみえて、頁の端が黒ずみ、擦り切れてしまっている本もあります。綴じ糸や題簽は、発見したつど岩瀬文庫内で綴じ直したり、貼り直したりしています。また、本格的な作業が必要なものは、順に専門の職人に頼んで修復しています。


(くん)(じょう)・IPM


 蔵書の大敵に、害虫やカビなどがあります。岩瀬文庫の蔵書の中には、長い年月の中で既に痛ましい虫害やカビ害を負っているものもあります。 燻烝とは、薬剤ガスを密閉した収蔵庫内に充満させ、害虫やその卵、カビ菌を駆除する処置のことです。岩瀬文庫ではこれまで定期的に燻蒸を行い、市内の文化財や歴史資料の寄託や寄贈を受ける場合には、そのつど燻蒸処置を行ない、収蔵庫に納めています。
  なお、近年は環境に配慮したIPM(薬剤に頼らない害虫・カビの防除)の考え方が一般的となっています。新収蔵庫では、密閉性の確保や温湿度の管理と清掃の徹底、年2回の環境検査によって、「虫・カビを持ち込まない、発生させない、増殖させない」環境の維時に努めています。

マイクロフィルム化


 西尾市岩瀬文庫では、平成8年度より蔵書のマイクロフィルム化を進めています。古い蔵書は高温や強い光、圧力に弱く、直接コピー機に押し当てて複写をすることは厳禁です。そこで、本の1コマ1コマをマイクロフィルムに撮影し、複写の必要がある場合は、このフィルムから紙焼きをつくります。また万が一、予期せぬ災害等で(あってはならないことですが)蔵書が滅失してしまった場合には、このフィルムがその本に書かれた情報を伝える、唯一の手段となります。

一般に公開し、活用する。

閲覧提供


閲覧室


 創設者岩瀬弥助の書物をひろく誰にでも公開するという理念により、私立図書館・岩瀬文庫からいつでも・どなたでも・無料で蔵書を公開してきました。それは百年以上経った現在も変わらず続けられています。岩瀬文庫2階の閲覧室(9時~16時)に来ていただければ、18才以上ならどなたでも江戸時代以前にかかれた書物を実際に手にとってご覧いただけます。


展示


常設展示室

企画展示室


 常設展示室では日本の書物文化を概観できる展示を行っています。また、企画展示室では年に5回、様々なテーマで岩瀬文庫の蔵書を紹介します。


講座



 文庫の蔵書をともに楽しむため、日本の伝統的な書物に触れてもらうため様々な講座を開催しています。古文書講座や体験講座、研究者を招いての特別講座を行っています。詳しくは年間予定をご覧ください。


教育施設として


 博物館である岩瀬文庫は、教育施設として小中高生の校外学習や、中学生の職場体験、大学生の書誌講座に使われています。